研究課題
ベーチェット病に伴う網膜ぶどう膜炎の治療にインフリキシマブが用いられるようになり、インフリキシマブが高い有効性を示すことが知られている。しかしながらインフリキシマブ導入後もぶどう膜炎を生じる患者がいるのも事実であり、今回我々はぶどう膜炎の発症時に特異的に上昇する糖鎖について検討をおこなった。インフリキシマブ導入後もぶどう膜炎を生じる患者の血清について、新しい糖鎖構造解析グライコブロッティング法をもちいて網羅的糖鎖解析をおこなった。なお、コントロールとしてインフリキシマブ治療導入によりぶどう膜炎が生じなくなったベーチェット病患者の血清をもちいた。インフリキシマブ導入が必要であった眼炎症発作を繰り返すベーチェット病患者は34例であり、そのうち25例はインフリキシマブ導入後にはぶどう膜炎はみられなくなった(有効例)が、9例ではインフリキシマブ導入後もぶどう膜炎がみられた(無効例)。抗インフリキシマブ抗体について検討したところ、有効例25例では検出されず、無効例9例中4例で抗インフリキシマブ抗体がみられた。患者血清について網羅的糖鎖解析をおこなったところ、検出を試みた70糖鎖のうち、有効例では53糖鎖,無効例では56糖鎖が検出され、そのうち40糖鎖について糖鎖ピークに有意な相関係数が得られた。2群間比較では、m/z1680, m/z2337, m/z2379, m/z3195の4つの糖鎖において比較的明確な差異が認められ、いずれも無効例に多くみられるという結果であった。無効例に多くみられた4つの糖鎖はぶどう膜炎の発症マーカーとなる可能性がある。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 8件、 査読あり 8件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件)
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