研究課題/領域番号 |
25462749
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
劉 孟林 東北大学, 大学病院, 助教 (70436153)
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研究分担者 |
森藤 暁 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助手 (20647234)
中澤 徹 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30361075)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 緑内障 |
研究実績の概要 |
正常網膜および軸索障害による緑内障モデル動物の網膜を単離組織培養し、遺伝子銃を用いた遺伝子導入により網膜神経節細胞を蛍光標識することで、その樹状突起や神経軸索の可視化を試みた。本方法により、網膜内の神経節細胞をランダムに標識することで一細胞ごとの細胞体や樹状突起および神経軸索を明確に観察することができた。また、遺伝子銃を用いた網膜神経節細胞の標識とCD11b抗体を用いた活性型マイクログリアとの二重染色を同時におこなった。その結果、軸索障害7日後の緑内障モデル動物の網膜神経節細胞周辺に活性型マイクログリアが集積していることを、共焦点レーザー顕微鏡を用いた三次元構築のデータから明らかにした。加えて、マイクログリアのマーカーであるIba1を蛍光標識したIba1-EGFPトランスジェニックマウスを用い、緑内障モデル作製後の網膜を経時的に観察した。蛍光眼底イメージングによる結果、軸索障害による緑内障モデルの網膜において経時的にIba1-EGFP陽性のマイクログリアが網膜表層に浸潤する様子を認めた。また、前年度より進めていたAAPHによる酸化ストレスによる網膜神経節細胞死についてより詳細に解析するため、マウス眼球内にAAPHを投与後に経時的に網膜サンプルを回収し、複数の神経節細胞マーカーの遺伝子発現リアルタイムPCRにより測定した。その結果、AAPH投与後4日後以降では急激なマーカー遺伝子の減少は見られず、酸化ストレス障害による網膜神経節細胞死は特定の細胞において比較的早期に生じることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
高眼圧モデル動物が安定的に作製できず、難航している。前年度に引き続き、前房内にマイクロビーズを注入する方法により高眼圧モデル動物の作製をおこなった。マイクロビーズの注入量を増加し、またマイクロビーズと同時に粘弾性物質を注入するなどの条件検討をおこなった。一過性に眼圧上昇が見られる個体もあったが、安定的に高眼圧を維持するモデル動物の作製には至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き、高眼圧モデルの作製の条件検討をおこなう。具体的には、マイクロビーズ投与と同時に繊維柱帯の障害誘導、ステロイド点眼によるステロイド緑内障モデル、キモトリプシンモデルなどをおこなう。作製した高眼圧モデル動物を用い、病態におけるカルパインの関与と細胞死との関連についての研究をおこなう。また、前年度の成果として、緑内障モデルのRGCにマイクログリアの関与が示唆されたので、緑内障におけるRGC障害とマイクログリアの関連性について分子レベルでの検討をおこなう。
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次年度使用額が生じた理由 |
実施予定の高眼圧モデル動物の作製法が未だ確立しておらず、さらなら検討を要するため。
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次年度使用額の使用計画 |
マイクロビーズ法の条件検討に加え、ステロイド点眼やキモトリプシン投与、ツニカマイシン投与などにより高眼圧動物の作製を目指す。またそのモデル動物を用い、緑内障病態とカルパインとの関与について分子メカニズムを明らかにする。
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