成熟期哺乳類では、中枢神経が一度損傷を受けると再生が極めて困難である。一方、新生期における中枢神経再生は比較的容易である。これはエピジェネティックな再生関連分子の発現制御機構に依存すると考えられているが、その詳細なメカニズムは不明であった。我々は中枢神経再生モデルとして、網膜-視神経系を用い、ヒストンのアセチル化によるエピジェネティックな再生分子の発現制御機構に着目し、新生期網膜神経節細胞(RGC)に発現が豊富なレチノイン酸受容体 (RARβ) を成熟期に再発現させることで神経再生を促すことに成功した。
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