研究課題/領域番号 |
25462755
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
井上 幸次 鳥取大学, 医学部, 教授 (10213183)
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研究分担者 |
池田 欣史 鳥取大学, 医学部, 助教 (10444639) [辞退]
宮崎 大 鳥取大学, 医学部附属病院, 講師 (30346358)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | サイトメガロウイルス / 単純ヘルペスウイルス / 角膜内皮細胞 / マイクロアレイ / RAGE / 免疫制御 / IDO / サイトカイン |
研究実績の概要 |
【目的】終末糖化産物(advanced glycation endproducts ;AGEs)は、黄斑変性や白内障など加齢性疾患への関与が報告されているが、角膜領域,特に感染における役割についての検討はあまりなされていない。そこで、角膜内皮細胞の炎症応答・感染応答機構における、AGE受容体(receptor for AGEs; RAGE)の役割を検討した。 【方法】不死化ヒト角膜内皮細胞(HCEn)におけるRAGEの発現をreal-time RT-PCRおよびFACSを用いて検討した。また、種々のRAGEのリガンドでHCEnを刺激し、その応答プロフィールを炎症性サイトカインに対するreal-time PCRおよびELISAで検討した。感染応答刺激には、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)KOS株を用いた。 【結果】RAGEは、HCEnにおいて強発現していた。HCEnは、CpGの刺激によりIL-6、IFN-βを誘導した。一方、HSVによる感染刺激は、RAGE発現を誘導した。RAGEのsiRNAおよびRAGE阻害抗体は、CpG刺激によるIFN-βの誘導を転写レベルで阻害した。また、HSV-1感染刺激によるIFN-βの誘導も同様にRAGE阻害により抑制された。RAGEの一過性過剰発限系を用いた場合、RAGEの発現量に応じて、リガンドに対するIFN-βの誘導は増強し、HSV感染刺激においても、RAGEの発現に応じてIL-6、IFN-β発現は増強した。 【結論】角膜内皮にRAGEは強発現し、リガンド刺激、HSV感染に応答してIFN-β誘導に関与している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
感染増殖可能なサイトメガロウイルスが得られたが、遺伝子組み換えが行われていたため使用許可が得られるのにかなりの時間を要したため、感染内皮細胞に対する細胞免疫反応(細胞障害性T細胞)の検討の開始が遅れた。また、サイトメガロウイルスが感染した内皮細胞をターゲットとした場合、結果にかなりのばらつきが生じる。前年のIDOと同様、分子解析についてはサイトメガロウイルスではなく単純ヘルペスウイルスを用いてRAGEの解析ができた。
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今後の研究の推進方策 |
サイトメガロウイルス感染内皮細胞をターゲットとするのではなく、サイトメガロウイルス由来のタンパク(IE1,pp65)をパルスした細胞をターゲットとすると安定した結果が得られるpreliminaryな結果が得られており、それを用いて細胞性免疫(細胞障害性T細胞) の検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品について予定よりも少量の購入で行えたため
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次年度使用額の使用計画 |
繰り越しは小額であり、当初の予定通りを計画している。
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