研究課題
最終年度【目的】角膜内皮細胞は単純ヘルペスウイルス(HSV)やサイトメガロウイルス(CMV)に感染後、Ⅰ型インターフェロン(IFN)に集約される自然免疫応答の発動に続いて、獲得免疫系の賦活化も行う。これらの抗ウイルス応答を制御するシグナル因子を同定し、その制御機構を明らかにする。【方法】HSV感染後不死化ヒト角膜内皮(HCEn)の包括的転写応答についてマイクロアレイを行い、これをネットワーク解析した所、主要制御因子としてinterferon regulatory factor (IRF) 7が同定された。そこで、clustered regularly interspaced short palindromic repeats (CRISPR) 法による遺伝子編集を用いてIRF7欠損細胞株を作成し、Ⅰ型IFNに集約される自然免疫応答、獲得免疫系の賦活化への寄与を検証した。【結果】HSV感染後、HCEnはIRF7の誘導とともにIFNβ1を産生した。しかし、IRF7欠損細胞株においては、自然免疫応答としてのⅠ型IFN応答は高度に障害された。IRF7を発現を補填したIRF7欠損細胞株ではこの経路は回復した。一方、獲得免疫系へのプライミング機能について検証した所、HSV感染後HCEnは、HSV既感染者由来のメモリーCD8T細胞に対してHSVエピトープ特異的かつMHCクラスI拘束性にIFNγ産生を誘導した。このプライミング機能は、IRF7欠損細胞株では消失した。【結論】角膜内皮細胞において、IRF7はウイルス感染後の自然免疫系のみならず獲得免疫系誘導に寄与する重要な制御因子である。期間全体の成果角膜内皮細胞にHSV・CMVを感染させ、マイクロアレイを施行して、網羅的な分子解析を行った結果、IDO-1、RAGE、IRF7などが重要な分子として働き、免疫を制御していることが判明した。
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Br J Ophthalmol
巻: 101 ページ: 114-119
10.1136/bjophthalmol-2015-308238