研究課題
4週令のBALB/cヌードマウスの腎被膜下に、胎齢15日のF344ラットから採取した胸腺を移植する(TGヌードマウス)。移植した胸腺は上皮系のみが生着し、そこにホスト由来のT細胞や樹状細胞が侵入し、免疫系が確立する。このマウスは外来の抗原に対しては正常マウス並みに反応するが、しかしながら臓器特有の自己抗体の出現を伴うぶどう膜網膜炎や涙線炎等の臓器局在性の自己免疫病が多発する。TGヌードマウスに発症する自己免疫病はCD4陽性細胞でもってヌードマウスやscidマウスにトランスファーすることができた。TGヌードマウスの自己免疫病は、発病前の早い時期に正常マウスの制御性T細胞(Treg)を注射しておくと予防することができた。TGヌードマウスにもTregは正常マウス並みに存在していた。Tregが産生されるのは胸腺で発現しているaire遺伝子による抗原とされている。TGヌードマウスの胸腺でのaire遺伝子の発現は、胸腺髄質のラット由来の上皮細胞であった。マウス由来の細胞によるaire遺伝子の発現はなかった、そのためにTGヌードマウスではマウス抗原ではなくラット抗原に対するTregが産生されていると思われる。これを証明するために以下の実験を行った。TGヌードマウスの腎被膜下に新生児マウスとラットから採取した涙腺や甲状腺を移植し、生育を検討した。その結果マウスの移植臓器には激しいリンパ球浸潤が見られ、組織の破壊が見られた。対照的にラットの移植臓器にはリンパ球の浸潤もなく、組織は正常に発育した。次にTGヌードマウスにラットの臓器を移植した後で、抗CD25抗体(PC61)を投与してTregの削除を試みた。その結果移植片には激しいリンパ球の浸潤が認められた。aire遺伝子が発現する抗原特異的なTreg が産生されること、種が異なれば、臓器抗原の抗原性も異なる事が明らかとなった。
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