研究課題
現在、滲出型加齢黄斑変性、近視性脈絡膜新生血管、糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫の治療薬として抗血管内皮増殖因子(VEGF)薬が認可されて、一定期間の評価では平均視力の改善・維持が得られるようになったが、高額な医療費、合併症、視力改善困難な症例、加齢黄斑変性では地図状萎縮誘発の可能性などが指摘され、長期的な使用に関して、多くの問題が明らかになってきている。ドラッグデリバリーシステム(DDS)を応用できれば、注射回数減少による合併症の頻度低下、医療費軽減だけでなく、適切な濃度の薬剤を安定して眼内に送達することによる薬効の向上と薬害の軽減が期待できる。ゼラチンハイドロゲルにポリイオンコンプレックスを介して塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)が結合できることを利用して、bFGF含有ゼラチンシートを作成して、家兔角膜に移植することにより新生血管モデルの作成を行った。また、マウスレーザー脈絡膜新生血管モデルを作成し、これらに対し、組織プラスミノーゲンアクチベータ(tPA)の有効性を調査し、血管新生抑制作用を確認した。臨床研究により、抗VEGF薬と併用することにより、脈絡膜新生血管の縮小効果が得られることがわかってきた。tPAは眼科領域でも適応外ながら広く使用されていることと、類似効果が得られるオクリプラスミンが黄斑円孔の治療薬として臨床試験中であるので、今後、抗VEGF薬単独使用よりも、これらの薬剤の併用が主流になってくる可能性も秘めていると考えている。そのため、tPAの有効性の基礎データをさらに集積する予定である。また、今後、抗VEGF薬の徐放が可能かと含め、併用効果を得るための指摘条件を調査する予定である。
3: やや遅れている
当初予定の家兎でなく、マウスのレーザー脈絡膜新生血管モデル作成したが、安定したモデル作成に繰り返し実験することが必要であったため。
引き続き、マウスのレーザー脈絡膜新生血管モデルに対して、tPAが有効な時期、抗VEGF薬との併用の有用性について、調査する予定である。同時に、抗VEGF薬のゼラチンハイドロゲルへの結合性と徐放効果について、家兎を用いて実験を行う予定である。
端数の残額少額にて使用計画に大きな変更はない予定
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
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