Vogt-小柳-原田(VKH)病27例(男性14例、女性13例)(初発24例、再発3例)について、計41回の末梢血リンパ球の解析を行った。解析は、フローサイトメトリーにて末梢血リンパ球のCD4+CD25+Foxp3+、CD4+IFN-g+IL-4+、CD4+IL-4+IL-17+、CD4+IFN-g+IL17+の測定を行った。副腎皮質ステロイド薬全身投与開始前に検体採取を行い、半年以上経過観察を行った23例(再発あり9例、再発なし14例)について、再発の有無と末梢血リンパ球の測定結果との関連を統計学的に解析した。その結果、CD4陽性細胞におけるCD25+Foxp3+ の発現の割合は 再発あり群4.93±0.49%、再発なし群6.06±1.56%であり、再発なし群のほうが有意に高かった(P=0.023)。しかし、今回測定を行ったサイトカインについては、有意差は検出されなかった。 CD4+CD25+Foxp3+陽性T細胞は制御性T細胞と呼ばれ、一般的に自己免疫を含めた炎症性疾患を抑制すると考えられている。今回の解析では、再発のない症例でCD4+CD25+Foxp3+陽性T細胞の割合が有意に高かった。そのため、VKH病において、制御性T細胞の比率が再発の有無に関与している可能性が考えられる。今後、CD4+CD25+Foxp3+陽性T細胞の測定結果をもとに、治療法や治療期間を各症例で調整することによって、VKH病の予後を改善できる可能性が考えられる。 今後は経過観察を終了していない4例の経過観察終了を待って再解析を行うとともに、副腎ステロイド薬投与終了前後の比較を行う予定である。
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