研究課題
本研究ではこれまで十分に検討を重ねてきた多発性硬化症の疾患モデルである実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を活用し、新しい視神経炎の治療法を開発することを目的としている。すでに我々はToll-like receptor(TLR)の下流で活性化するストレス応答分子であるASK1が、グリア細胞における自然免疫系の活性化に関与することを報告している。実際にASK1欠損マウスではEAEが軽症化するが、発症そのものの抑制は不可能であった。そこで本研究では薬剤によるTLRの発現抑制とASK1シグナル経路阻害の相乗効果により、視神経炎の発症抑制が可能か検討する。さらにASK1の細胞種特異的欠損マウスを複数作成し、同様の検討を行う。すでにそれらのマウスが複数完成し、EAEの軽症化を確認している。一方、Dock8とよばれるグアニンヌクレオチド交換因子の変異が重症複合免疫不全症に関与すると報告されたが、このような患者では逆に自己免疫疾患が起きにくい可能性がある。そこで本研究ではDock8が視神経炎の発症や重症度に与える影響について、新規遺伝子改変マウスを用いて検討した。その結果、Dock8欠損マウスではEAEが軽症化し、視神経炎や視機能障害も抑制されることがわかった。
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