研究課題/領域番号 |
25462769
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
高安 肇 筑波大学, 医学医療系, 講師 (10359614)
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研究分担者 |
増本 幸二 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20343329)
上杉 達 筑波大学, 医学医療系, 講師 (30380421)
五藤 周 筑波大学, 学内共同利用施設等, その他 (80598889)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 横隔膜ヘルニア / 肺高血圧 / Rho Kinase阻害剤 / Wntシグナル伝達系 |
研究概要 |
まず、ナイトロフェン投与による横隔膜ヘルニアモデルの作成にとりかかった。2013年8月頃から順調にモデルが作成できるようになり、予定通り妊娠17日目、19日目、21日目の胎児から肺、心臓、肝臓、腎臓、横隔膜を冷凍切片用、核酸抽出用に採取した。 ついでRhoAKinase関連が横隔膜ヘルニア(CDH)における肺高血圧に関わっているか否かを評価した。RT-PCRにてRho-Aと、その上流に位置するWnt11のモデル肺における高発現を認めた。さらに、その結果は免疫染色に手も確認された。肺の血管におけるRhoAの発現を正確に評価するためにvWFとRhoAの共染色を行い、モデル肺の血管、とくに末梢の血管におけるRhoAの高発現を認め、RT-PCRの結果と矛盾しなかった。以上よりRho Kinase PathwayのCDH肺高血圧への関与が示唆され、RhoKinase阻害剤の治療への応用の可能性が示唆された。 他に、Wntシグナル伝達系の肺高血圧への関与を調べた。横隔膜ヘルニアを合併する多発奇形において遺伝子変異と発現の低下が報告されているWnt4の発現は、モデル肺において有意に低下していた。 また、他の肺高血圧モデルで示されているGSK3betaのmRNAレベルの発現亢進やベータカテニンの核への移行と蓄積は認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(理由) 実験を開始した当初は、横隔膜ヘルニアを認めないことが続いた。思ったより早くに出産していることなどより業者の報告するところの妊娠日数に幅があり、一日でも投与日が狂うとモデルが出来ない事を経験上知っていたので、ラット一匹あたりの値段は高いが、より信用のおける業者に切り替えたところ、次第に順調にモデルが作成されるようになった。 エリスロポエチンの評価にはとりかかれなかったが、沢山のモデル胎児の臓器検体を冷凍保管で来た事、まとめて核酸を抽出して保存出来た事より、それほど作業が遅れているとは考えていない。 また、RhoA Pathwayの系で有意な結果を得たため、それをさらに発展する事も考えており、比較的順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2013年に確保した臓器検体のうち肺、肝臓からRNAを抽出し、エリスロポエチンおよび、そのレセプターの発現をRT-PCRおよび免疫染色で確認する。有意差が得られた場合は、そのメカニズムの探求と、エリスロポエチンの投与効果をモデル動物を用いて検討する。 また、Rho Kinase阻害剤の投与効果も同様にモデルを用いて検討したいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
前倒し請求を行い、次年度分を使用して研究を継続したが、本年度の目的は達成され、わずかに残金が生じた。次年度に役立てる事とした。 エリスロポエチンおよび、そのレセプターを認識する免疫染色用の試薬および抗体の購入。エリスロポエチン、そのレセプター、またエリスロポエチン関連物質のRT-PCRに必要な試薬およびプライマーの購入。免疫染色とPCRに要する消耗品の購入。ラットの購入。RhoKiase阻害剤の購入。ヨーロッパ小児外科学会において2013年の成果を発表するための旅費。2013年の成果を論文にするために必要な経費(英文添削、投稿費用)。
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