研究実績の概要 |
妊娠ラットやマウスにナイトロフェンを投与すると胎児にCDHが生じ、このモデル(CDHモデル)は肺低形成や肺高血圧の病態を再現するモデルとして利用されてきた(Takayasu Hら、J Pediatr Surg.2010、Pedatr Surg Int.2008、J Pediatr Surg.2007)。申請者は、平成25年より3年間、本研究において同モデルを用いて肺におけるRhoAの過剰発現(Takayasu H,Masumoto Kら、J Pediatr Surg.2015や肝臓及び腎臓におけるエリスロポエチン(Epo)の低発現(Takayasu H,Masumoto Kら、投稿準備中)を見いだした。よってRho阻害剤、Epoの治療に対する有効性が示唆された。また最近、アンギオテンシンII(AngII)受容体拮抗薬が同モデルにおいて肺の発生を促し、心機能を改善した(Cristina Nogueira-Silva, Jorge Correia-Pintoら、Mol Med.2012)という報告がなされた。さらにAngIIとRhoキナーゼの経路が互いに活性化しあい、そのターゲットの一つがIL-6であることが報告されている(Magdalena ,DariaらPharmacological Reports2014)。よって上記の薬剤が単独あるいは併用により出生前あるいは出生後のCDH患児の肺低形成、肺高血圧を改善することが期待される。母胎や新生児のラットモデルへのRho阻害剤やEpo投与の効果については目下条件検討の段階である。
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