研究課題
小児短腸症候群の予後改善に向け、腸管再生に関する研究がなされているが、臨床応用には至っていない。2008年にS. C. Jwoらは、新たなモデルとしてラットの小腸にシリコンチューブを挟み吻合、チューブ内の完全な腸管再生を報告している。一方、脂肪組織由来間葉系幹細胞 (MSC)は新たな幹細胞資源として期待され、すでに心疾患領域では臨床応用が展開されている。そこで我々は、JwoモデルにMSCを投与することにより多中心的・三次元的腸管再生がおこり、再生能力促進、機能獲得が得られると仮説を立て、腸管再生における臨床応用を目指し、MSCの有用性について研究する。1.ラット腸管再生モデル(Jwoモデル)の作成を確立し、腸管再生の追試を行い、これをコントロール群とする。2.この腸管再生ラットモデルで、シリコンチューブの代わりに穴あきシリコンチューブと生体吸収性素材(vicryl mesh)をscaffoldにして、ここへrMSC(ラット脂肪由来間葉系幹細胞)を投与し、腸管の再生を確認する計画であった。結果としては、ラットで投函再生モデルの作成に成功した。12週目に完全な腸管の再生が確認できた。これをコントロール群として、さらにシリコンチューブの代わりにvicryl meshを用いたモデルの作成にも成功した。しかし、vicryl meshモデルにMSCを投与したが有意な腸管再生の延長は得られなかった。
すべて 2015
すべて 学会発表 (9件)