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2013 年度 実施状況報告書

短腸症候群におけるGhrelin、GLP-2を用いた残存腸管順応誘導の開発

研究課題

研究課題/領域番号 25462777
研究機関鹿児島大学

研究代表者

向井 基  鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (80468024)

研究分担者 加治 建  鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (50315420)
林田 良啓  鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (80305135)
武藤 充  鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (70404522)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード大量小腸切除 / 短腸症候群 / 腸管不全 / Glucagon-like peptide-2 / Acyl ghrelin / Des-acyl ghrelin / 腸管順応 / 新生児
研究概要

【研究の意義と重要性】:本邦の新生児外科医療は過去50年間で急速に進歩し、手術を必要とする新生児の90%が救命できるようになった。一方で、自己の小腸では生命を維持することが困難な症例が増加しており、有効な治療法の開発が喫緊の課題となっている。
我々の研究は、大量に小腸を喪失し短小腸となった患児らのわずかに残された自己小腸に対し、生命を維持する能力を賦与することを最終目標として掲げている。
【本年度の研究内容】:80%小腸切除ラットモデルにおいて、以下の2つの消化管ホルモンの体内動向を追跡し、相互作用についての検討を行った。
摂取した未消化食物残渣による刺激をうけて回腸・結腸領域のL細胞から分泌され、高度な絨毛増高作用と陰窩細胞増殖促進作用により粘膜修復をもたらすGlucagon-like peptide-2 (GLP-2)。胃・十二指腸領域のX/A様細胞から分泌され、摂食調節および成長に関与するGhrelin。これらをターゲットホルモンと位置付けた。
以下の知見が明らかとなった。1.80%小腸切除後4日目以降で残存小腸の絨毛増高が顕著となり吸収粘膜表面積の増大が進行した。2.Ghrelinは短小腸群でも正常腸管群でも早期に上昇し、以降は短腸環境では正常腸管環境と同等の血漿レベルが保持された。3.大量に小腸切除を受けると、GLP-2はGhrelinの上昇と同期して4日めにピークに達し、以降は正常腸管環境に比し短腸環境において有意に高い血漿レベルが維持された。
大量小腸切除後、Ghrelin が摂食を保っていることが、GLP-2を高いレベルで維持するきっかけとなり、吸収粘膜増大を引き出しているのではないかと推察された。GLP-2により絨毛増高促進をはかり、Ghrelinにより摂食を担保することで、効果的な残存小腸の粘膜発育促進が期待できると展望された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

大量小腸切除後の新たな術後管理方法の検討過程において、ターゲットホルモンの生理的動向の把握が完了した。その相互作用についても、推察が成り立った。現在、当初の予定に沿って研究は進行過程にあると自己評価している。

今後の研究の推進方策

(今後の推進方策)
Acyl ghrelinとGlucagon-like peptide-2 (GLP-2)の腸管粘膜修復に及ぼす相互作用について検討をすすめることを柱とする。Acyl ghrelinの生体に及ぼす作用は、個体の成長に関連する様々な側面に影響していることが知られており、広い分野で数多くの先行報告がなされている。我々のこれまでの研究では、Acyl ghrelinの摂食促進作用がGLP-2の腸管粘膜修復に影響していることを考察しているが、摂食という枠以外にも関連作用があると推察される。この点に関して、以下の実験骨子を創案している。
・Acyl ghrelinを抑制することで、腸管粘膜修復がどのように修飾されるのかを検討する。Acyl ghrelinのアンタゴニスト[D-lys(3)]GHRP-6を腹腔内投与し小腸絨毛成長の差異を検証する方法、Acyl ghrelinのknock out mouseを用いて小腸絨毛成長の差異を検証する方法を考えている。
・Acyl ghrelinを投与することで、腸管粘膜修復がどのように修飾されるのかを検討する。摂食による影響を排除するため、絶食環境での観察を主体とする。
上記を踏まえた上で、具体的な術後管理プランの組み立てを行いたいと考えている。

次年度の研究費の使用計画

消耗品を予定額よりも安価に購入することが出来た。
実験用動物の購入に充てることとする。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Ghrelin and glucagon-like peptide-2 increase immediately following massive small bowel resection2013

    • 著者名/発表者名
      Mitsuru Muto, Tatsuru Kaji, Motoi Mukai, Kazuhiko Nakame, Takako Yoshioka,Akihide Tanimoto, Hiroshi Matsufuji
    • 雑誌名

      Peptides

      巻: 43 ページ: 160~166

    • DOI

      10.1016/j.peptides.2013.03.006. Epub 2013 Mar 18.

    • 査読あり
  • [学会発表] 大量小腸喪失後の血漿GhrelinとGlucagon-like peptide-2の推移について

    • 著者名/発表者名
      武藤充
    • 学会等名
      第50回 日本小児外科学会
    • 発表場所
      京王プラザ(新宿)
  • [学会発表] 大量小腸切除モデルラットにおける血漿Ghrelin、Glucagon-like peptide-2の推移と臨床応用への展望

    • 著者名/発表者名
      武藤充
    • 学会等名
      第50回 日本外科代謝栄養学会
    • 発表場所
      学術総合センター(千代田区)
  • [学会発表] 大量小腸切除後のGlucagon-like peptide-2およびGhrelinに関する検討:残存腸管活用に向けた基礎研究の報告

    • 著者名/発表者名
      武藤充
    • 学会等名
      第26回 日本小腸移植研究会
    • 発表場所
      自治医科大学地域医療研修センター(栃木)

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公開日: 2015-05-28  

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