研究課題
眼球移植における血管柄付き末梢神経移植を中心に、手術手技の改善と評価を行った。動物は主としてラットを用い、末梢神経のドナーは正中神経と顔面神経を用いた。網膜への直接の神経縫合は技術的に困難なため、強膜の小切開から神経断端を網膜下に差し込み、神経周膜を強膜に10-0、11-0ナイロンで縫い付けることで神経を埋入しているが、スリットをあける際に網膜が穿孔し硝子体が流出しやすかったため、手技的な改善を行った。またドナー神経の選択、挙上に関しても、神経断端に割をいれて開くことで断端を大きくし神経再生を促進する、神経弁を島状皮弁として移動性を増す等の改善を行い、血管柄付き神経から網膜への神経再生が示唆された。一方で末梢神経移植では、その遠位端を更に脳に接続する必要があるのが問題が残る。最近、国際学会にてラットを用いた同種眼球移植の報告がピッツバーグ大学形成外科からあり、直接研究者とコンタクトを取る機会を得た。動物種はラットで眼球を同種間で移植しており、ドナー側は開頭後、側頭骨を一部皮弁(眼球、眼窩内容、顔面皮膚を含む)側に付着させて視神経を長く採取し、レシピエント側は球後部で視神経を切断、皮弁神経と10-0ナイロン等で直接縫合することで視神経が外側膝状体まで神経が再生したとのことであった。しかし動眼神経等は縫合していないため視覚機能的評価はできていないとのことで、我々も今後は神経再生を組織学的検討から機能的評価を中心に行っていきたいと考えている。
2: おおむね順調に進展している
組織学的検討では神経の伸長を認めたが、視覚の機能的評価は困難であった。視機能の評価法としては対光反射が考えられるが、これには視神経だけでなく、縮瞳させるために動眼神経も縫合する必要がある。しかし現在の我々の方法では動眼神経は同定、縫合していないため、評価できない点が課題である。
移植動物としては、飼育の容易さやコストの面からやはりウサギよりラットが良いと思われた。また対光反射による視機能評価のために、動眼神経の縫合を行いたいと考えている。ラットでは動眼神経の露出は頭蓋底で行う必要があると思われ、手技的に可能かどうか、まずは解剖学的に検討したい。
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J Obstet Gynaecol Res
巻: 40(4) ページ: 907-18.
10.1111/jog.12302.