研究課題/領域番号 |
25462787
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
田中 顕太郎 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (20569503)
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研究分担者 |
岡崎 睦 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50311618)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 神経軸索再生 / 神経移植 / 組織血流 / 放射線照射 / 組織硬化剤 |
研究実績の概要 |
本研究では移植神経および移植組織野の血流量と神経軸索再生との定量的相関関係を明らかにすることを目的として、ラットを用いた放射線照射による低血流移植組織野の作成と坐骨神経を用いての神経移植実験を予定した。前々年度までは血流付き坐骨神経作成の手技、および神経軸索再生について組織学的評価の確立を行った。前年度は血流の乏しい組織野を作成する目的で放射線照射を行うこととしていたが、実験動物センターの設備改修に伴い、予定していた照射が困難となった。その上、放射線照射装置の故障が続き復旧の見通しが立たない状態で、長く実験を中断せざるを得ない状態であった。そのため、放射線照射による低血流組織野の作成を断念し、硬化剤としても使用されているエタノールを用いた組織野の作成を行うこととした。組織障害性が高く、放射線のように遮蔽することが困難なため、広範囲の組織壊死や神経そのものの障害を認めることが多く組織野の作成に難渋した。注入後の組織からの薬剤漏出が原因の一つであったため、注入量を最低限にしつつ、注入後は大量に洗浄を行うことで比較的安定して神経障害を抑え移植組織野を作成することが可能となった。血流量については、血流付き坐骨神経の作成に際して用いたレーザードップラー血流計ALF21(アドメデック)で確認を行った。麻酔深度、血圧、体温など様々な要因で血流量は変化するため、常に健側の同一部位と比較検討し明らかな低下を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
計画ではラットへの放射線照射検討を進めていく予定であったが、実験動物センターの設備改修により放射線照射が清潔・不潔エリア導線が問題となり、予定していた照射条件が不可能となった。そのため別条件での照射を行えるようセンター側と交渉していたが、今度は放射線照射装置そのものが修理不可能となってしまったため、新たに別の方法での低血流野を作成する必要が発生したことが挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
予備実験を終えて本実験に入る予定である。本来は放射線照射の際に神経を遮蔽して、神経への障害を無くすようにする予定であったが、硬化剤を用いた方法では少なからず神経への障害が危惧される。そのため従来は低血流組織野での神経移植を血流有り/無しでの評価予定としていたが、硬化剤そのものによる神経障害の程度を確認するために、正常組織野での神経移植を血流有り/無しも含め、それぞれ4群に分けて実験を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究の実施場所である本学実験動物センターは平成25年度から全面改修期間となり新規動物実験計画の申請が認められず、平成25年度の実施は不可能であった。施設が再稼働し実際に使用が可能となったのは平成26年秋であった。再稼働とともに速やかに実験を開始したが、今度は平成27年夏に本研究の最大の特色であった放射線照射装置が故障し、結果修復不能となった。以上の経過より本研究計画の大幅な見直しが必要となり期間延長申請を行うに至った。これらの理由から次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
予定していた実験内容を変更し、新たな組織血流量低下モデルの作成のために、今後は計画にはなかった組織硬化剤を用いた動物モデルの作成を行っている。その開発と応用のために使用する予定である。
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