研究課題/領域番号 |
25462790
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
野村 正 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (30529566)
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研究分担者 |
榊原 俊介 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (50444592)
江尻 浩隆 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (70529552)
寺師 浩人 神戸大学, 医学部附属病院, 教授 (80217421)
橋川 和信 神戸大学, 医学部附属病院, 准教授 (90403237)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 動静脈奇形 / 血管内皮細胞 / 成長ホルモン受容体 |
研究概要 |
血液貯留型の血管奇形である動静脈奇形は増殖することで潰瘍形成や出血を引き起こすが、その増殖のメカニズムは解明されていない。近年、血管奇形において成長ホルモン受容体(Growth hormone receptor; GHR)の発現を組織免疫学的手法で確認し、血管奇形における成長ホルモンの関係を示唆する報告があり、本研究では血管奇形における成長ホルモンの関与について検証を行うために、平成25年度は手術で得られた動静脈奇形標本から血管内皮細胞の初代培養を行った。さらにコントロール群として、正常の動静脈から同様の手法で初代培養を試みた。免疫複数個体の動静脈奇形検体から初代培養は成功し、さらにこれらについてGHRの免疫染色を行った。手術検体の固定標本では血管周囲にGHRの発現が確認できたが、培養の血管内皮細胞においてはGHRの発現は確認できなかった。現在、販売者の異なる複数のGHR抗体を入手し、免疫染色に関する実験を継続すると共に、血管内皮細胞の遊走能ならびに増殖能について検討を行っている。一方、コントロール群の正常動静脈を用いた血管内皮細胞の初代培養は血管内皮細胞が増殖せず、動静脈奇形と増殖の程度が明らかに異なることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、1年次でヒト血管奇形由来血管内皮細胞および平滑筋を単離培養し、成長ホルモン受容体(GHR)の有無について組織免疫染色法によって確認し、さらに成長ホルモン(GH)刺激による内皮細胞および平滑筋細胞の増殖能および遊走能について検討する予定であった。現状では、動静脈奇形標本のGHRに関する組織免疫染色法による検討は終了し、GHRの発現を確認した。一方、動静脈奇形標本からの血管内皮細胞初代培養は回数を重ねる毎に安定して細胞が得られるようになったが、正常血管からの血管内皮細胞は安定した結果が得られていない。このことからも動静脈奇形の血管内皮細胞は正常血管に比べ明らかに増殖能が高い結果となった。さらに培養細胞の組織免疫染色法まで順調に行うことができた。しかしこれらを用いた遊走能の確認には至っていない。また、固定標本ではGHRの発現が確認できたものの、培養細胞ではGHRの発現が現状では確認できていない。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、動静脈奇形標本からの初代培養を行う。当初正常血管をコントロール群として内皮細胞を初代培養予定であったが、昨年度の経験から正常血管からの血管内皮細胞初代培養を行うことが極めて困難であり、対照としてヒト臍帯静脈由来血管内皮細胞(HUVEC)を用いることとする。これら血管内皮細胞のGHに対する遊走能アッセイを行う。さらにサンプルから培養した血管内皮細胞をRT-PCR法にてmRNAの発現量計測し、対照群と血管奇形群間で発現量を比較検討する。 サンプルから培養した血管内皮細胞および血管平滑筋細胞をウエスタンブロッティングによるアッセイでGHRのカスケードの一部であるERK1/2がリン酸化される課程を生化学的に検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
手術で得られた標本が予想よりやや少なかったため、細胞培養のコストが当初計画より少なくなった。また、研究者自身が重に実験する機会が多く、人件費の拠出が不要であった。 次年度では、細胞培養に加え、PCR法、ウェスタンブロッティングを行うのに必要な試薬等の購入で大幅な予算が必要である。
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