研究実績の概要 |
今年度は、各実験群(Control, 活性化PRP,bFGF単独、活性化PRP+bFGF、活性化PRP+徐放化bFGF)で再生された組織成分別組織量について比較して臨床応用への可能性を検討した。組織成分別再生量は、ハイブリッドセルカウント機能(Bio-Revo BZ-700)で求めた。結果)組織学的には、PRPを併用した実験群で、血管束の周囲にリンパ球やマクロファージなどが集積した炎症性組織層が認められた。この炎症性組織は経時的に線維性組織へ、さらに脂肪細胞に置換されることが判明した。従って、炎症性細胞の集積は組織再生に有利に働いていると考えられた。再生組織量は、活性化PRP+bFGF群と活性化PRP+徐放化bFGF群で多く、control群に比して多かった(one-way ANOVA, p<0.05)。組織成分別再生量(血管束/脂肪組織、線維性組織、炎症性組織、低細胞密度組織)は、活性化PRP+bFGF群の低細胞密度組織が他の実験群に比べ多い(p<0.05)以外は有意差が無かった。以上から、PRPを併用することで、これまで見られたcollagen spongeの異物反応が抑制され(安全性の確保)、再現性をもって栄養血管を有した肉芽組織がchamber内で再生できることが示された。また、組織成分別再生量及び全再生組織量の比較から、活性化PRP+徐放化bFGF群がchamber内での軟組織再生において最も有用な成長因子の併用方法であると考えられた。
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