研究課題/領域番号 |
25462796
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
加藤 愛子 大分大学, 医学部, 客員研究員 (50404372)
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研究分担者 |
岡本 修 大分大学, 医学部, 客員研究員 (40284799)
藤原 作平 大分大学, 医学部, 教授 (90181411)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 創傷治癒 / デルマトポンチン / フィブロネクチン / 仮マトリックス / DP-4 |
研究実績の概要 |
これまでにデルマトポンチン(DP)は創傷初期に形成される仮マトリックスに存在し、フィブリンやフィブロネクチン(Fn)と濃度依存性に相互作用し、Fnを活性化し、線維形成させることが分かっており、このことからDPは創傷治癒を促進するのではないかと考えている。さらにDPのFn結合部位はDP-4と呼ばれるペプチドであり、DP-4もFnを不溶化=活性化し、線維形成させ、細胞接着を増強することから、DP-4はDPの活性ペプチドであり、DP同様に創傷治癒を促進すると考えている。FnのDP結合部位はタイプⅢリピートの14番(Ⅲ14)であることが分かっている。今回はFnのDP-4結合部位の同定を行った。既存のFnフラグメントとDP-4の相互作用をELISAで確認すると、DP-4の結合部位はⅢ12-14であると思われ、さらにⅢ12、Ⅲ13、Ⅲ14とDP-4の相互作用を確認すると、DP-4はⅢ14と相互作用を認め、FnのDP-4結合部位はDPと同様、Ⅲ14であることが分かった。DP-4により活性化されたFnの線維芽細胞に対する細胞接着は増強するが、その細胞接着はへパリンで部分的に、EDTAで完全に阻害されたことからこの細胞接着はインテグリンとヘパラン硫酸プロテオグリカンが関与すると考えた。さらに抗インテグリン抗体を用いて細胞接着の阻害実験を行うと、へパリン存在下で抗α5およびβ1インテグリン抗体により阻害されたため、DP-4により活性化されたFnの細胞接着におけるレセプターはα5β1インテグリンであると判断した。以上の内容を含め、DP-4の生理活性につき、論文を作成し発表した(Kato A et al, J Dermatol Sci. 76, 2014)。 DP-4の生理活性について明らかになったので、今後はDP-4 により活性化されたFnを利用して、細胞増殖因子との相互作用も含めて検討したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
デルマトポンチン(DP)とフィブロネクチン(Fn)の相互作用やDPによるFnの活性化において重要な役割を担うと考えられる、Fnの結合部位でもありDPの活性ペプチドであるDP-4の機能解明については、予定通り順調に進み、論文で発表することができた。活性化したFnを利用した人工仮マトリックスの作成においては検討段階であり、当初の予定よりやや遅れているものの、全体的にはおおむね順調に進んでいると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
細胞増殖因子とフィブリン、フィブロネクチン、DP-4を用いて人工仮マトリックスの組成の決定やその評価をin vitro および in vivo で行う。in vitro では、人工仮マトリックスを培養細胞に加えて、細胞の増殖能や遊走能の変化を精査する。in vivo では、マウスの実験的創傷に人工仮マトリックスを添加して、創傷治癒促進能を評価する。さらに増殖因子の部分ペプチドを作成してDPやDP-4との相互作用を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に購入を希望する物品があったが、未使用額の35929円では不足していたため
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次年度使用額の使用計画 |
年度末に購入を希望する物品があったが、未使用額の35929円では不足していたため、これを来年度に繰り越して使用する予定とした。
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