研究課題/領域番号 |
25462796
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
加藤 愛子 大分大学, 医学部, 客員研究員 (50404372)
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研究分担者 |
岡本 修 大分大学, 医学部, 客員研究員 (40284799)
藤原 作平 大分大学, 医学部, 教授 (90181411)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | デルマトポンチン / フィブロネクチン / DP-4 ペプチド / 創傷治癒 |
研究実績の概要 |
現在までに判明しているデルマトポンチンの機能は組織から変性条件で生成したものについてであり、未変性標品として市販されているものは精製法が公開されておらず、未変性物と確定できない。生体中でのデルマトポンチンの生物学的機能を明らかにする目的で、非変性条件でデルマトポンチンを精製し、その生物活性を変性条件で精製したものと比較した。 293-EBNA細胞にデルマトポンチンのcDNAを組み込み、培養上清を回収した。上清の20、40、60%硫酸アンモニウム沈殿を得たところ、デルマトポンチンは40%沈殿に最も濃縮されていた。この沈殿を、0.5MNaClを含んだ生理的緩衝液に溶解し、陰イオン交換クロマトグラフィーに供した。その結果ほぼ純粋なデルマトポンチンのみがカラムに結合しており、これを1M塩酸アルギニンで溶出した。0.6M付近で近接した3つのピークが認められ、その溶出分画は分子量、抗体との反応性から、いずれもがデルマトポンチンであると同定した。これらは翻訳後の修飾の程度の異なるバリアントと考えられた。限外ろ過でアルギニンを除去して生理的緩衝液に溶解した状態のデルマトポンチンを得た。終了は培養上清10Lあたり約1.5mgであった。 このデルマトポンチンを用いてHaCaT細胞の接着実験を行うと、変性条件で精製したデルマトポンチンよりはやや弱いが細胞接着活性が認められた。しかしフィブロネクチン活性化、フィブリン線維形成促進能は弱かった。 これらのことから、デルマトポンチンの細胞接着能は変性条件、非変性条件で精製した標品に共通した機能であり、フィブロネクチン活性化、フィブリン線維形成促進能は変性条件での精製標品に特有の機能であった。すなわちデルマトポンチンは組織がダメージを受けた際に変性あるいは部分分解を受けて高次構造を変え、フィブロネクチンやフィブリンの生物活性を修飾する可能性が示された。
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