研究課題
自己細胞由来誘導性血小板を用い、血小板に含まれる成長因子による、パーソナル治療剤の基礎開発にむけて研究を行った。平成25年度は、in vitroで血小板分化に用いるヒト細胞ソースの検討を行った。まず、細胞ソースとしてiPS細胞、NE-E2遺伝子導入線維芽細胞、脂肪前駆細胞、造血幹細胞が報告されているが、いずれも血小板への分化誘導効率は約20%から50%であった。培養により得られた血小板数は、造血幹細胞由来とそれ以外で少なくとも約25倍の差を認めた。次に、血小板の創傷治癒作用発現において重要と考えられている血小板活性化能を血小板機能測定機器を用いて検討した。その結果、脂肪前駆細胞から作製された血小板の活性化能が高かった。更に作製血小板が含有する成長因子量の測定を行った。結果、脂肪前駆細胞は、造血幹細胞と同様に遺伝子導入を必要とせず、feeder-free、serum-freeでの血小板分化が可能であるため、早期臨床応用可能な作製血小板のソースとして適していると考えた。平成26年度は、脂肪前駆細胞をソースとした自己細胞由来誘導性血小板を用い、in vivoで検討を行った。In vivoで用いる動物種として、ヒト化免疫不全マウスであるNOGマウスを用い、背部に直径8mmパンチで皮膚欠損を作成し、大量培養したヒト脂肪前駆細胞由来誘導性血小板を投与した。その結果、血小板濃度依存性に創傷治癒促進傾向が見られた。平成27年度は、自己細胞由来誘導性血小板の成長因子によるパーソナル治療剤の臨床応用に向けて、多様な個体の細胞ソースを用いて安全性を含めた基礎データを固めるため、臨床研究として倫理申請を行い、実際の患者さんから得た脂肪で血小板を誘導開始した。平成28年度は、実際の患者さんから作成した誘導血小板を、次世代シーケンサーで解析し、安全性を確認した。
すべて 2016
すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)