本研究では、細胞外マトリックス-versicanの発現および分解が、創傷治癒(血管新生・肉芽増生)においてどのような意義をもたらすのかを検討した。versicanのheterozygous ノックアウトマウスを用い、melanoma細胞注入による癌の移植モデルおよび創傷治癒モデルを作成・検討し、WTと比較検討を行ったところ、versicanのheterozygous ノックアウトマウスではWTマウスに比べ、有意に癌の増殖が抑えられ、創傷治癒も遅延した。その機序として、血管新生が抑制されている像が、両モデルともで確認された。また、versicanの分解産物であるversikineを培養した線維芽細胞に添加したところ、細胞の増殖能が促進された。 これらのことから、versicanの発現のみならず、分解が皮膚における創傷治癒や血管新生に関与していることが示された。
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