研究課題/領域番号 |
25462802
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
清水 雄介 琉球大学, 医学部附属病院, 特命教授 (10327570)
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研究分担者 |
今西 宣晶 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (00184820)
貴志 和生 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40224919)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 静脈解剖 |
研究実績の概要 |
未固定屍体を用いた顔面静脈解剖において、顔面の静脈環流経路の全体像の確認が出来た。研究代表者が観察を行った全ての屍体の眉間部において、両側の眼角静脈を交通する太い静脈の存在を確認することが出来た。また前額から眉間部にかけて、静脈は基本的に頭尾側方向に走行していることが確認出来た。両側の眼角静脈付近からそれぞれ1本の太い上行静脈を確認することが出来た。上行静脈の起始部では3つの分岐パターンがあった。また、その走行についても3パターンに分類することが出来た。 太い上行静脈においては皮膚に近い浅層において多角形の静脈網(polygonal venous network)が形成されていた。さらに多角形の静脈網から浅層の皮下に向かって多数の小上行静脈が立ち上がっていた。これらより、顔面の静脈網は階層構造をなしていることが判明した。各階層間では軟X線造影検査で憩室様に写る静脈弁が確認できた。この静脈弁は3種類存在することが判明した。この静脈弁の存在により浅層方向への血液の逆流を強力に防止する機構があることが分かった。 動脈と静脈の走行は眼角部以外では基本的に互いに独立した走行をしていることが確認出来た。例えば滑車上動脈には伴走静脈は存在せず、代わりに動脈外壁に細かく発達するvasa vasorumが存在することが分かった。同vasa vasorumは真皮に向けて直接立ち上がる小上行静脈や、多角形静脈網との間に交通枝をもっていた。 眼窩周囲には眼を取り巻くような静脈網が存在した。同静脈の外側から鼻唇溝付近の顔面静脈にかけて頬静脈(仮称)が存在したが、必ずしも太くはなく、描出が困難な個体も存在した。頬静脈には弁が存在しており尾側から頭側方向への血液の逆流を防いでいると思われた。さらに口唇周囲を取り巻く静脈の存在も確認できた。これらは主に鼻唇溝付近の顔面静脈から分岐していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
顔面の静脈解剖の全体像を把握することが出来た。同研究成果を頭頸部の解剖教科書(英文)のchapterの一つとして発表することが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの研究成果をまとめ、学会発表、論文発表として継続していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度必要とする費用が平成27年度予算内に収まったため。
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次年度使用額の使用計画 |
未使用額を平成28年度経費と合わせて物品費、旅費として使用していく。
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