研究課題/領域番号 |
25462809
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
澤村 淳 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00241448)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 敗血症病態 / サイトカイン / IL-6 / TNF-αKO / 遺伝子治療 / Western Blotting / 敗血症脳症 / TNF-α |
研究実績の概要 |
敗血症病態におけるサイトカインのバランス機構を詳細に解析することによって、敗血症病態における標的遺伝子を同定し、それに対する遺伝子治療を確立することがこの研究の目的である。敗血症病態に対する治療として特効薬は現在までのところ存在せず、非常に重要なテーマであると考えている。 敗血症脳症に関しての以前の研究では、敗血症病態が強く惹起される部位としては第三脳室周辺の基底核あるいは深部大脳白質と考えられた。病理組織学的な結果として、各種免疫組織学的染色において有意な結果が得られなかったが、敗血症脳症では空間特異性がなく、全脳的に炎症反応が急激に拡散する可能性が推察された。 IL-6 KO マウスを用いてRT-PCRを行ったが、Ct値に関してWTに対してIL-6 KOマウスにおいて、LPS投与群でSOCS3が25.8、STAT3が19.5であるのに対してWTではSOCS3が23.6、STAT3が18.6であった。また、LPS非投与群ではIL-6 KOマウスでSOCS3が29.9、STAT3が20.4であるのに対して、WTではSOCS3が27.8、STAT3が20.0であった。つまり、IL-6 KOマウスにおいてはSOCS3の増幅効率がSTAT3に比べて大きいことが判明した。しかも、LPS投与群ではLPS非投与群に比べSOCS3とSTAT3の増幅効率がいずれも抑制された。 また、TNF KOマウスを用いたRT-PCRでは、Ct値に関してWTに対してTNF KOマウスにおいて、LPS投与群でSOCS3が27.5、STAT3が13.6であるのに対してWTではSOCS3が25.6、STAT3が18.3であった。また、LPS非投与群ではTNF KOマウスSOCS3が30.5、STAT3が18.4であるのに対して、WTではSOCS3が30.4、STAT3が14.2であった。 つまり、TNF KOマウスにおいてはLPS投与群ではSTAT3の増幅効率がSOCS3にくらべ明らかに抑制されることが判明した。しかも、LPS非投与群ではSTAT3の増幅効率がWTにくらべ、TNF KOマウスで明らかに増大していることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
耐震化事業の一環として、実験場所である北海道大学医学研究科動物実験施設の全面改修工事が平成25年から平成26年度9月まで行われ、使用不可能となった。10月から使用可能となったが、実験動物のKOマウスを動物実験施設外に持ち出すことが不可であったため、止む無く熊本大学にて卵子と精子の状態で保存した。更に配合後のヘテロの上代をホモの状態にするには半年近くの時間を要し、当初の計画から相当の遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
さらに、LPS投与後の致死率については、現在集計中である。 これらの結果を踏まえて、遺伝子治療の足掛かりとし今後の実験を推進していく考えである。
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次年度使用額が生じた理由 |
耐震化事業の一環として、実験場所である北海道大学医学研究科動物実験施設の全面改修工事が平成25年から平成26年度9月まで行われ、使用不可能となった。10月から使用可能となったが、実験動物のKOマウスを動物実験施設外に持ち出すことが不可であったため、止む無く熊本大学にて卵子と精子の状態で保存した。更に配合後のヘテロの上代をホモの状態にするには半年近くの時間を要し、当初の計画から相当の遅れが生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
Western Blotting、ELISAキット、LPS、mAbIL6/mAbTNFα抗体、STAT3/SOC抗体、rtTNFα/rtIL6抗体を購入し、実験を行う。国内・国際学会の発表、国際的学術雑誌への発表等も検討している。
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