外傷急性期凝固異常の治療法確立とダメージ関連分子パターンに注目した急性期病態解明

2015 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 25462810
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 久志本 成樹 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50195434)
• 研究分担者: 山内 聡 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00307638) [辞退] ; 山田 充啓 東北大学, 大学病院, 助教 (00396483) ; 古川 宗 東北大学, 大学病院, 助教 (30624853) [辞退] ; 工藤 大介 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30455844)
• 研究期間 (年度): 2013-04-01 – 2016-03-31
• キーワード: 外傷 / 凝固障害 / ダメージ関連分子パターン / DIC

研究実績の概要

重症外傷の転帰に大きな影響を与え、治療上の問題となる急性期凝固異常および免疫･炎症反応に関して、凝固異常に対する治療法確立、およびalarminsに注目した病態解析のために、以下、IおよびIIを目的として研究を実施した。
I.外傷急性期における凝固線溶動態の把握に基づき、新たなdamage control resuscitationの戦略を確立すること。
II.外傷を中心とした急性期病態における凝固線溶および炎症･免疫反応をalarminsに注目して解析し、凝固線溶･炎症･免疫反応の適正化を目指す治療法を探ること。
Iに関して：昨年度までに収集した多施設共同観察研究データの解析および学会発表、さらには国内外への論文公表を行った。わが国の重症外傷診療における凝固異常対策を考慮した輸血療法を明らかにするとともに、フィブリノゲンやD-dimerなどの重症度や大量輸血予測におけるパラメータとしての重要性、”Deadly triad”の再考、病院前輸液、年齢および抗凝固・抗血小板薬服用の影響を明らかにした。さらに、治療においては、受傷後3時間以内のトラネキサム酸投与、血漿：赤血球輸血比を１：１以上とすることにより重症外傷患者の転帰改善につながることを明らかにした。
IIに関して：昨年度から継続し、外傷および急性期病態における凝固線溶反応、炎症･免疫反応をalarminsの重要性の視点から臨床データ収集と解析を行った。とくに、ミトコンドリア成分、HMGB-1などのalarminsが急性炎症反応とこれに伴う臓器障害の発生、凝固線溶異常、さらには細胞性免疫能にどのように関与するかを検討した。外傷急性期において、alarminsであるmtDNAは組織損傷に伴い血中に放出され、炎症反応、凝固線溶反応および臓器障害と関係する可能性があることを明らかにした。一方、院外心停止蘇生後患者においては、HMGB-1が重症度と関連するとともに、新たな神経学転帰予測指標となることを明らかにした。

研究成果

• [雑誌論文] HIGH D-DIMER LEVELS PREDICT A POOR OUTCOME IN PATIENTS WITH SEVERE TRAUMA, EVEN WITH HIGH FIBRINOGEN LEVELS ON ARRIVAL: A MULTICENTER RETROSPECTIVE STUDY. (2016)
  • 著者名/発表者名: Hayakawa M, Maekawa K, Kushimoto S, Kato H, Sasaki J, Ogura H, Matauoka T, Uejima T, Morimura N, Ishikura H, Hagiwara A, Takeda M, Kaneko N, Saitoh D, Kudo D, Kanemura T, Shibusawa T, Furugori S, Nakamura Y, Shiraishi A, Murata K, Mayama G, Yaguchi A, Kim S, Takasu O, Nishiyama K.
  • 雑誌名: SHOCK 巻: 45 ページ: 308-314
  • DOI: 10.1097/SHK.0000000000000542.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Can Early Aggressive Administration of Fresh Frozen Plasma Improve Outcomes in Patients with Severe Blunt Trauma? - A Report by the Japanese Association for the Surgery of Trauma. (2016)
  • 著者名/発表者名: Hagiwara A, Kushimoto S, Kato H, Sasaki J, Ogura H, Matsuoka T, Uejima T, Hayakawa M, Takeda M, Kaneko N, Saitoh D, Otomo Y, Yokota H, Sakamoto T, Tanaka H, Shiraishi A, Morimura N.
  • 雑誌名: SHOCK 巻: 未定 ページ: 未定
  • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] Modified traumatic bleeding severity score: early determination of the need for massive transfusion. (2016)
  • 著者名/発表者名: Ogura T, Lefor AK, Masuda M, Kushimoto S.
  • 雑誌名: Am J Emerg Med 巻: 未定 ページ: 未定
  • DOI: 10.1016/j.ajem.2016.02.072
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Development of novel criteria of the “lethal triad” as an indicator of decision making in current trauma care: a retrospective multicenter observational study in Japan (2016)
  • 著者名/発表者名: Endo A, Shiraishi A, Kushimoto S, Otomo Y, Saitoh D, Hayakawa M, Ogura H, Murata K, Hagiwara A, Sasaki J, Matsuoka T, Uejima T, Morimura N, Ishikura H, Takeda M, Kaneko N, Kato H, Kudo D, Kanemura T, Shibusawa T, Hagiwara Y, Furugori S, Nakamura Y, Maekawa K, Mayama G, Yaguchi A, Kim S,Takasu O, Nishiyama K
  • 雑誌名: Crit Care Med 巻: 未定 ページ: 未定
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] 外傷急性期凝固障害の治療 (2015)
  • 著者名/発表者名: 久志本成樹、工藤大介、吉田良太朗、江頭隆一郎
  • 雑誌名: 救急医学 巻: 39 ページ: 1555-1566
• [学会発表] 重症外傷に対するdamage control resuscitation と輸血治療のこれから (2016)
  • 著者名/発表者名: 久志本成樹
  • 学会等名: 第64回日本輸血・細胞治療学会学術集会
  • 発表場所: 京都市 国立京都国際会館
  • 年月日: 2016-04-28 – 2016-04-30
  • 招待講演
• [学会発表] 外傷急性期凝固線溶動態に関する多施設共同研究（J-OCTET）の概要 (2015)
  • 著者名/発表者名: 久志本成樹・工藤大介・加藤宏・佐々木淳一・小倉裕司・松岡哲也・植嶋利文・森村尚登・石倉宏恭・早川峰司・萩原章嘉・武田宗和・金子直之・齊藤大蔵
  • 学会等名: 第29回日本外傷学会学術集会
  • 発表場所: 札幌市 札幌コンベンションセンター
  • 年月日: 2015-06-11 – 2015-06-12
• [学会発表] Massive transfusion予測因子の検討 (2015)
  • 著者名/発表者名: 仲村佳彦・石倉宏恭・加藤宏・佐々木淳一・小倉裕司・松岡哲也・植嶋利文・森村尚登・早川峰司・萩原章嘉・武田宗和・金子直之・齊藤大蔵・久志本成樹
  • 学会等名: 第29回日本外傷学会学術集会
  • 発表場所: 札幌市 札幌コンベンションセンター
  • 年月日: 2015-06-11 – 2015-06-12
• [学会発表] 重症外傷において病院前輸液が血液凝固機能に及ぼす影響 (2015)
  • 著者名/発表者名: 村田希吉・大友康裕・齊藤大蔵・加藤宏・佐々木淳一・小倉裕司・松岡哲也・植嶋利文・森村尚登・石倉宏恭・早川峰司・萩原章嘉・武田宗和・金子直之・久志本成樹
  • 学会等名: 第29回日本外傷学会学術集会
  • 発表場所: 札幌市 札幌コンベンションセンター
  • 年月日: 2015-06-11 – 2015-06-12
• [学会発表] 本邦における年齢層別の外傷急性期凝固線溶動態 (2015)
  • 著者名/発表者名: 佐々木淳一・渋沢崇行・石倉宏恭・植嶋利文・小倉裕司・加藤宏・金子直之・齊藤大蔵・武田宗和・萩原章嘉・早川峰司・松岡哲也・森村尚登・白石淳・久志本成樹
  • 学会等名: 第29回日本外傷学会学術集会
  • 発表場所: 札幌市 札幌コンベンションセンター
  • 年月日: 2015-06-11 – 2015-06-12
• [学会発表] 今日の外傷診療におけるDeadly tria”を改めて検討する (2015)
  • 著者名/発表者名: 遠藤 彰・白石淳・村田希吉・大友康裕, J-OCTET研究グループ
  • 学会等名: 第29回日本外傷学会学術集会
  • 発表場所: 札幌市 札幌コンベンションセンター
  • 年月日: 2015-06-11 – 2015-06-12
• [学会発表] Fibrinogenの低下を読めなくてもD-dimer高値は予後不良の指標である (2015)
  • 著者名/発表者名: 早川峰司・久志本成樹・加藤宏・佐々木淳一・小倉裕司・松岡哲也・植嶋利文・森村尚登・石倉宏恭・萩原章嘉・武田宗和・金子直之・齊藤大蔵
  • 学会等名: 第29回日本外傷学会学術集会
  • 発表場所: 札幌市 札幌コンベンションセンター
  • 年月日: 2015-06-11 – 2015-06-12
• [学会発表] ISS16以上の外傷に対する6時間以内の輸血は“RBC, FFP10単位ずつ (2015)
  • 著者名/発表者名: 久志本成樹・工藤大介・加藤宏・佐々木淳一・小倉裕司・松岡哲也・植嶋利文・森村尚登・石倉宏恭・早川峰司・萩原章嘉・武田宗和・金子直之・齊藤大蔵
  • 学会等名: 第29回日本外傷学会学術集会
  • 発表場所: 札幌市 札幌コンベンションセンター
  • 年月日: 2015-06-11 – 2015-06-12
• [学会発表] 抗凝固薬・抗血小板薬内服の輸血と止血術への影響 (2015)
  • 著者名/発表者名: 工藤大介・久志本成樹・加藤宏・佐々木淳一・小倉裕司・松岡哲也・植嶋利文・森村尚登・石倉宏恭・早川峰司・萩原章嘉・武田宗和・金子直之・齊藤大蔵
  • 学会等名: 第29回日本外傷学会学術集会
  • 発表場所: 札幌市 札幌コンベンションセンター
  • 年月日: 2015-06-11 – 2015-06-12
• [学会発表] 頭部単独外傷におけるTrauma-induced coagulopathyと組織低かん流 (2015)
  • 著者名/発表者名: 早川峰司・久志本成樹・加藤宏・佐々木淳一・小倉裕司・松岡哲也・植嶋利文・森村尚登・石倉宏恭・萩原章嘉・武田宗和・金子直之・齊藤大蔵
  • 学会等名: 第29回日本外傷学会学術集会
  • 発表場所: 札幌市 札幌コンベンションセンター
  • 年月日: 2015-06-11 – 2015-06-12
• [学会発表] トラネキサム酸は日本の外傷診療でも転帰を改善していた (2015)
  • 著者名/発表者名: 白石 淳・大友康裕・加藤宏・佐々木淳一・小倉裕司・松岡哲也・植嶋利文・森村尚登・石倉宏恭・早川峰司・萩原章嘉・武田宗和・金子直之・齊藤大蔵・久志本成樹
  • 学会等名: 第29回日本外傷学会学術集会
  • 発表場所: 札幌市 札幌コンベンションセンター
  • 年月日: 2015-06-11 – 2015-06-12
• [学会発表] 頭部単独外傷に対する トラネキサム酸の効果の検証 (2015)
  • 著者名/発表者名: 植嶋利文・白石淳・齊藤大蔵・石倉宏恭・小倉裕司・加藤宏・金子直之・佐々木淳一・武田宗和・萩原章嘉・早川峰司・松岡哲也・森村尚登・久志本成樹
  • 学会等名: 第29回日本外傷学会学術集会
  • 発表場所: 札幌市 札幌コンベンションセンター
  • 年月日: 2015-06-11 – 2015-06-12
• [学会発表] 初療早期よりFFPを積極的に投与することで重症外傷の予後を改善できるか (2015)
  • 著者名/発表者名: 萩原章嘉, J-OCTET研究グループ
  • 学会等名: 第29回日本外傷学会学術集会
  • 発表場所: 札幌市 札幌コンベンションセンター
  • 年月日: 2015-06-11 – 2015-06-12
• [学会発表] 重症外傷患者における受傷24時間後の最適な輸血目標値の検討 (2015)
  • 著者名/発表者名: 前川邦彦・早川峰司・久志本成樹・加藤宏・佐々木淳一・小倉裕司・松岡哲也・植嶋利文・森村尚登・石倉宏恭・萩原章嘉・武田宗和・金子直之・齊藤大蔵
  • 学会等名: 第29回日本外傷学会学術集会
  • 発表場所: 札幌市 札幌コンベンションセンター
  • 年月日: 2015-06-11 – 2015-06-12
• [学会発表] 重症外傷に対する大量輸血における臨床的問題とこれまでの知見 (2015)
  • 著者名/発表者名: 久志本成樹
  • 学会等名: 第29回日本外傷学会学術集会
  • 発表場所: 札幌市 札幌コンベンションセンター
  • 年月日: 2015-06-11 – 2015-06-12
• [学会発表] 外傷急性期における凝固線溶および炎症反応にはalarminsとしてのmitochondrial DNAが関与する (2015)
  • 著者名/発表者名: 宮川乃理子、工藤大介、山内 聡、久志本成樹
  • 学会等名: 第29回日本外傷学会学術集会
  • 発表場所: 札幌市 札幌コンベンションセンター
  • 年月日: 2015-06-11 – 2015-06-12