研究課題/領域番号 |
25462824
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
笠岡 俊志 熊本大学, 医学部附属病院, 教授 (90243667)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 心停止後症候群 / バイオマーカー / 予後予測 |
研究概要 |
血中Neutrophil gelatinase-associated lipocalin(NGAL)は心停止後症候群の新たな生化学マーカーになり得るか? NGALは活性化した好中球から分泌される分子量25kDaの分泌タンパクで、リポカリンファミリーに属する。虚血性、敗血症性、薬剤性の急性腎傷害(AKI)において尿細管にNGALの発現が認められ、尿中NGAL排泄が増加する。そのため腎傷害の早期バイオマーカーとして期待されている。また、敗血症と類似した病態を呈する心停止後症候群の予後予測マーカーを確立することは重要な課題である。本臨床研究では、病院外心停止から蘇生して自己心拍が再開し集中治療部(ICU)に緊急入院となった患者を対象として、入院時に血液をサンプリングしてNGALを測定し、ICU退室時の生死や脳機能との関連についてROC分析等を用いて評価し、PCAS患者の予後予測における血中NGALの有用性について明らかにする。さらに、予後予測のための血中NGALのカットオフ値を同定する。 平成25年度は、対象患者から採血した血液検体を血漿分離して保管するシステムの構築を行うとともに、救急外来に搬送された患者のうち対象症例(院外心肺停止)の集積を開始した。さらに、健常人において血中NGALを測定するとともに、心肺停止以外の救急患者において血中NGALの測定を実施した。健常人の血中NGALはすべて100ng/mL以下であったが、急性腎障害(AKI)、急性感染症、急性心不全など様々な病態で血中NGALが100ng/mL以上の高値を呈していた。今後、心停止後症候群の患者の集積を進めるとともに、その他の救急患者についても検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究対象患者の登録や検体保管のためのシステムを構築し、対象患者の集積を開始した。 さらに、一部の救急患者で血中NGALの測定を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、対象患者の集積と血中NGALの測定をさらに推進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額が生じた主な理由は、一部の症例では血中NGALを測定しましたが、症例集積状況を考慮して、心筋障害マーカーや中枢神経マーカーの測定を次年度以降に延期したためです。 平成25年度に測定できなかったバイオマーカーも合わせて測定を推進する予定です。
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