研究課題/領域番号 |
25462825
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
後藤 孝治 大分大学, 医学部, 講師 (10363558)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 急性腎不全 / 血液浄化療法 / 血小板 / マイクロパーティクル / 催炎症性 / 臓器障害 |
研究実績の概要 |
現在、敗血症性ショックは集中治療部における死因の第一位であり、近年、世界的にその患者数は劇的に増加しつつある。その要因として、高齢化、ハイリスク患者の延命率の向上、侵襲の大きい治療の増加、および免疫能に異常がある宿主(化学療法、免疫抑制によって)が増加していることなどが挙げられる。このメカニズムについて様々な研究者が色々な角度から研究を行い、病態解明に取り組んでいる。その成果の一つとして、活性化した血球系の細胞などから放出されるマイクロパーティクルCirculating Endothelial Microparticles(EMPs)が注目を集めている。EMPsが注目されているのは、その強力な催炎症性と重症病態での臓器障害に関与している可能性が高い点である。一方、敗血症などの重症病態において様々な治療戦略が開発され、臨床現場において利用されている。敗血症性ショック患者の多くは急性の臓器障害を併発し、特に急性腎傷害Acute KidneyInjury(AKI)は多くの患者で認める重要な疾患群のひとつであり、患者の生死を決定しうる重要な病態であることが知られている。そこで、腎機能補助等を目的とした治療方法の一つとして、急性血液浄化療法がある。しかし、急性血液浄化療法において、最適な治療条件やその有効性のメカニズムについては不明な点が多い。そのような事実から本研究では、敗血症におけるEMPs の役割と急性血液浄化療法における影響を中心に解明を進めると共に、急性血液浄化療法におけるEMPs 増加を制御する膜素材の選別を行うことで最終的に急性期でのEMPsを制御し、そして、急性重症病態をより強力に改善できることを証明することである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、本研究の中間地点であり、昨年の研究に実験方法の確立ができたラットモデルを用いて実際の検討を行うこととした。使用したモデルは、ウィスター系雄性ラットを使用。セボフルレンを用いて麻酔導入を行い、全身麻酔を施行した後に、尾静脈よりリポポリサッカロイドもしくは生理食塩水を投与した。一旦覚醒させた後に、6時間後再度セボフルレンにて麻酔導入。そして、酸素とセボフルレンにて全身麻酔を維持した。ラットの外頸静脈を確保し、続いて大腿動脈を確保し、生理食塩水にて満たされた体外循環回路と接続し、30分間全身麻酔下に体外循環を行った。体外循環中は、呼吸回数や血圧・心拍数に注意しながら麻酔を行った。体外循環終了後に血液を回収。そして、傷口の縫合を行い、モデル完成とした。 初めに、前述したモデルを用いて、正常ラットに対して体外循環を行うことでのマイクロパーティクルに対する影響を検討した。測定ポイントとして、透析前、透析後、24時間後の3点とし、血液中のマイクロパーティクルのうち、血小板由来マイクロパーティクル(PDMP)を行った。結果、生食を投与した非炎症ラットにおいては、透析前後並びに24時間後において変化を認めなかったが、リポポリサッカライド投与にて全身性に炎症を生じさせた群においては、体外循環24時間後の時点において上昇傾向を認めた。更に、急性期における透析膜として汎用されているポリスルフォン膜を用いて体外循環を行い、正常ラット時のPDMPの変化との差異を検討した。ポリスルフォン膜を使用した群においては、正常ラットにおいては、特に変化を認めなかったが、リポポリサッカライドを投与した群において、透析直後より上昇することを認めた。 以上より、血液透析時において正常では変化の認めないPDMPが、炎症時において上昇し、膜素材によっては更なる上昇を認める可能性を見出すことに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究により、特に炎症時において血液中のマイクロパーティクルに変化を示すことを見出すことに成功した。しかし、正常ラットと一般的に急性期の透析療法時に使用されている透析膜の一つであるポリスルフォン膜のみの検討となってしまった。次年度は最終年度となるため、他の透析膜種の検討を行い、PDMPに対して影響の少ない膜の種類について検討を加える予定である。そのための活動として、本年度の研究中に、他の透析膜を用いたラット用ミニモジュールの作成に取り掛かっており、最終年度の研究をよりスムーズに行うための準備は整いつつある。 最終年度では、関係部門とのより緊密な連携を取り予定年度内にて研究を終えることが出来るように更にスピードアップすることを心がけて実験に取り組む予定にしている。また、最終年度の研究計画として各種サンプルに対する解析が多くなることが予想される。そこで、当研究室にて生化学的な研究の補助員と事前打ち合わせを開始しており、よりスムーズな研究進行を心がけるようにしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
ポリスルフォン膜以外で、PDMPに対し影響が少ない膜の種類を検討する為。
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次年度使用額の使用計画 |
昨年度検討を行った透析膜以外のラット用ミニモジュールの作成とPDMPの測定も含め、主に各種サンプルに対する解析で前年度未使用額を使用する予定である。
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