研究課題/領域番号 |
25462839
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
芝本 利重 金沢医科大学, 医学部, 教授 (90178921)
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研究分担者 |
倉田 康孝 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (00267725)
利波 久雄 金沢医科大学, 医学部, 教授 (70139773)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アナフィラキシーショック / 脳浮腫 / 喉頭浮腫 / 核磁気共鳴映像法 / ラット / 脳水分量 / 肥満細胞 |
研究概要 |
ラットにおいて卵白アルブミンを抗原としたアナフィラキシーショックモデルで脳浮腫の有無を喉頭浮腫とともに核磁気共鳴映像法(MRI)、脳水分量測定ならびに組織学的方法をもちいて、同程度の低血圧を惹起する血管拡張剤sodium nitroprusside(SNP)投与時と比較検討した。その結果、平均動脈圧は抗原またはSNPの投与後10分には35mmHgまで同様に減少し、低血圧が発生できた。MRIでは抗原投与後13分には喉頭に血管性浮腫の検知ができるT2緩和時間(T2RT)の上昇とT2強調画像で高信号が認めたが、SNPでは喉頭に信号の変化は認めなかった。組織学的検査でも、アナフィラキシー群では喉頭蓋に浮腫が認められ、喉頭の上皮から軟骨までの長さはアナフィラキシー群(310±56 μm)でSNP群(151±37 μm)に比して有意に大きかった。一方、脳のMRI像はいずれの群でT2RTまたは細胞傷害性浮腫に敏感な指標である水の見かけの拡散係数に有意な変化は認めなかった。脳水分量は、非低血圧状態のコントロール群(77.2±0.2%)と比較して、アナフィラキシー群(77.1±0.3%)とSNP群(77.2±0.3%)のいずれも有意な差を認めなかった。また、肥満細胞は視床下部の正中隆起部に認められたがアナフィラキシー群とSNP群でその数に有意差はなく、脱顆粒像も認めなかった。このことから、ラットアナフィラキシー低血圧時には喉頭で浮腫性変化が早期より発生するが、脳では浮腫は生じないことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は脳微小循環動態の解明を目的として①二重指示薬によるBBBの定量的ならびに顕微鏡的検討と②脳MRIによる細胞内水分量と血管外水腫の検討の研究遂行を目指した。後者のMRIの検討は予定どうりに進み、ラットアナフィラキシーショック時には脳浮腫は発生せず、喉頭浮腫がMRIと組織像で示された。さらに、平成27年度に計画した脳内の肥満細胞の研究を前倒しにして、検討した。その結果、視床下部正中隆起に肥満細胞を認めるがラットアナフィラキシーモデルでは脱顆粒は見られないことが判明した。以上より当初計画した①の二重指示薬の検討は現在継続中であるが、②のMRIの検討は終了した。さらに、平成27年度の課題の一部も前倒しで検討して、成績が出せた。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度予定した残りの課題を進める。それに対して、平成27年度当初計画した研究課題の一部が終了したために、平成26年度分の一部を最終年度の平成27年度にまわして無理のない実験計画とする。
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