研究課題/領域番号 |
25462839
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
芝本 利重 金沢医科大学, 医学部, 教授 (90178921)
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研究分担者 |
倉田 康孝 金沢医科大学, 医学部, 教授 (00267725)
利波 久雄 金沢医科大学, 医学部, 教授 (70139773)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | Anaphylactic shock / vascular permeability / evans blue dye / c-fos / anesthetized rats |
研究実績の概要 |
アナフィラキシーショック時の脳血管透過性の変化と脳組織の活性化の関連を麻酔下ラットアナフィラキシーモデルにおいて検討した。はじめに、アナフィラキシーショック時の脳内神経細胞の賦活状態を検討するために、急性に発現する脳内前初期遺伝子群のc-fosを検討した。ペントバルビタール麻酔下に卵白アルブミン抗原感作ラットとコントロールの非感作ラットに抗原を投与し、60分後に灌流固定を行い、脳をサンプリングした。免疫組織化学染色法で視床下部と延髄に存在する神経核のc-fos陽性細胞数の発現量について、感作ラットとコントロールの非感作ラットで比較した。視床下部では感作ラットの室傍核におけるc-fos陽性細胞数がコントロールラットと比較して増大した。延髄では孤束核におけるc-fos陽性細胞数が感作ラットで増大した。これらの神経核は交感神経調節に関与しているので、アナフィラキシーショックにおける交感神経系の関与を示唆する。次に、脳微小血管の血管透過性をEvans blue(EB)色素(3%;100mg/kg)を静脈内投与後に抗原感作ラットとコントロール非感作ラットに抗原を投与し、脳組織へのEB漏出量を測定し検討した。抗原投与10分後に左室より生理食塩水をポンプで大動脈内に注入し、EB色素を洗い出した後に脳を摘出した。EBの脳組織中濃度を比色法で測定し、抗原感作ラットと非感作ラットとで比較検討した。その結果、脳組織中EB量はアナフィラキシー低血圧を呈した感作ラットも低血圧のない非感作ラットと同様で脳血管透過性は亢進しなかった。 以上の成績よりアナフィラキシー低血圧時に視床下部の室傍核と延髄の孤束核においてc-fos発現が増大し、神経細胞の賦活が見られたが、それとは関連なく、脳血管透過性は変化しないことが示唆された。
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