研究課題/領域番号 |
25462841
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
小谷 穣治 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (80360270)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 敗血症 / IL-18 / 遺伝子多型 / 性差 |
研究実績の概要 |
平成26年度中に新規登録されたのは27検体であった。内訳は非敗血症9検体(男/女:3/6)、敗血症5検体(5/0)、敗血症性ショック9検体(7/2)、重症敗血症1検体(1/0)、外傷3検体(2/1)であった。非敗血症(APACHE IIスコア:20.6±5.3)、敗血症(18.4±3.2)、敗血症性ショック(34.3±6.2)の好中球数の平均は7793±3008, 11034±5201, 23103±12909個/uLであり、非敗血症に比べて敗血症性ショックでは有意に多い結果であった。また、4検体(非敗血症1, 敗血症性ショック2, 重症敗血症1)に関しては好中球アポトーシスを測定した。21検体の健常人好中球アポトーシスをコントロールとして解析した。健常人検体で好中球アポトーシスは約60%程度であったが、患者検体では約15%程度に抑制されていた。健常人検体では、女性でややアポトーシスが少ない傾向が見られたが、統計学的な有意差は無かった。患者検体では検体数が不十分なため、病態別、性別での関連は明らかではなかった。患者27検体、及び健常人21検体のIL-18-607および-137の遺伝子多型を検出したが、施設に新たに感度の良い機械が配備されたため、そちらを用いて再度多型検出を行っている。また、IL-18濃度についても測定し、健常人よりも患者検体で高い結果を得ているが、患者検体は病態別、性別で解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では研究期間内に以下の4点について明らかにするものとしている。 1. 重症救急症例における血中IL-18 濃度の経時的変化を病態別、重症度別、性別で評価 2. IL-18 の遺伝子多型解析 3. IL-18 の遺伝子多型と性差が好中球などの自然免疫細胞の機能変化に及ぼす効果 4. IL-18 の救急領域における新しい診断マーカーまたは治療標的としての機能 平成25年度までに1, 2, 4について検討を開始したが、平成26年度では、3についても検討を開始することが出来た。また、新たに27検体の採取に成功し、予定の半分の検体数にとどまっているものの、平成25年度からは飛躍的に増加し、検体採取方法は改善したと考えている。また、これまでのデータをまとめ、2本の英語論文として投稿した。現在新規の検体でも1, 2, 4について解析中であり、概ね良好な研究経過であると考えているが、検体数が予定数よりも下回っていることなどから、到達度としては80%程度と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度の検討では引き続き検体数を確保し、遺伝子多型解析、IL-18濃度、好中球機能解析を進めていく予定である。好中球機能に関しては、アポトーシスの他にneutrophil extracellular trapsの解析や、貪食能などを測定する。また、生化学データや各種重症度スコアなどを得られた結果と合わせ、病態別、重症度別、性別に分けて評価検討するため、統計解析ソフトを用いるなど、より詳細な検討を行い、学会発表や論文投稿に備える。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は予定よりも患者検体数が少なかったため、健常人検体を用いて解析を行い、年間50例程度の検体の解析を行うことが出来た。また、実験補助者を雇用し、平成25年度の問題点は改善されたため、予算も予定どおり使用することが出来たが、平成26年度中には学会発表を行える業績が得られていなかったことから、当初予定していた海外学会への出席を見送ったため、旅費が予定よりも少額であった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度には引き続き実験補助者を雇用して解析を円滑に進め、遺伝子多型解析用試薬、IL-18濃度測定用のELISAキット、好中球培養や抗体、フローサイトメータ関連試薬の購入を予定している。また、病態別、性別の解析に必要な統計処理ソフトや、論文投稿準備のための既報整理用ソフトなどの情報処理系必要物品も検討中である。また、海外学会への積極的な参加を予定しており、その旅費としての使用を考えている。
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