研究課題
本研究では個体差の機序を、IL-18遺伝子多型や性別と重症度との関連を見ることで病態別に検討し、新しい診断マーカーおよび性差に基づく治療標的としてのIL-18の可能性について臨床検討するものである。平成27年度は新規検体採取に加え、平成26年度から採取した検体の遺伝子多型解析、血漿IL-18濃度、好中球アポトーシス、Neutrophil Extracellular Trapsの測定を行った。IL-18-607/-137の遺伝子多型(及びIL-18濃度の平均値±標準偏差)はAA/GGが23%(206±191 pg/mL)、AA/GCが11%(54±22 pg/mL)、CA/GCが3%(41 pg/mL)、CA/GGが40%(193±346 pg/mL)、CC/GGが23%(158±144 pg/mL)であった。CA/GGのパターンが最も頻度が高く、これは平成25年度に行った70検体について解析した結果と一致した。AA/GG及びCA/GCは他よりもやや低い傾向が見られたが、n数が少ないため、有意な差では無かった。それぞれの遺伝子多型パターンごとに性別でわけてIL-18血漿濃度を確認したが、有意な差は認められなかった。好中球アポトーシス、NETsについても、遺伝子多型のパターンによって有意な差は認められなかった。しかし、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショックの病態別では差が認められる可能性がある。IL-18血漿濃度は敗血症で53±28 pg/mL、重症敗血症では102±59 pg/mL、敗血症性ショックでは126±87 pg/mLであり、重症化に伴って増加している傾向が見られた。しかし、病態別の分類に関しては、敗血症の定義が変更されたことにより、現在再検討中である。
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