地下鉄サリン事件にて,救命時解毒剤2-PAMが投与されたにも関わらず亡くなられた被害者の解剖では,末梢AChE活性は回復したが脳内AChE活性は回復しなかった.これは2-PAMのBBB通過能が乏しいたためと考えられ,よりBBB通過能の高い解毒剤の開発を検討した.脂溶性オキシム4-PAOが十分なラットBBB通過能とAChE回復能を示すことがわかり,ラットを用いたin vivo解毒実験を行った.脳内AChE活性を12.5%まで阻害したラットに4-PAOを継続静注したところ,脳内AChE活性が定量的に回復,8mg/kg投与時で79.3%まで回復し,4-PAOが新たな解毒剤となり得る可能性が示された.
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