研究概要 |
本邦において口腔癌による死亡者数は30年前と比較して2倍以上に増加している。この傾向は若年層を含めどの年齢層においてもみられることから、癌の早期発見という点で問題があると考えられる。一方、口腔領域における細胞診の普及率は現状ではまだ低いが、癌を早期に発見するための一つの方法として、歯科診療の場や口腔癌検診等で用いられるようになってきている。本研究では、口腔粘膜擦過細胞診で得られた検体から、細胞形態学的・免疫組織化学的解析および遺伝子変異の検索をすることにより、細胞診断システムを構築することを目的とする。 平成25年度は、大阪大学歯学部附属病院の病理診断データベースから歯肉扁平上皮癌症例を抽出し、癌関連蛋白・増殖マーカーに関する免疫染色所見も含めてデータベースの再構築を行った。癌関連蛋白質については、癌の増殖能、細胞周期、アポトーシス、免疫等に関連する蛋白を免疫組織化学的染色により検出した。具体的にはKi67, p16, p21, p53, cyclin D1, EGFR, IMP3, E-cadherin, Laminin5γ2, HLA-1, CD3, CD4, CD8, CD68に対する抗体を用いて染色し、予後データとの相関について解析した結果を「口の難病プロジェクト・2013年度進捗状況報告会」にて発表した。 細胞診については、組織学的診断結果の出ている症例を細胞診データベースから抽出し、他施設と共同で「細胞診の正診性に関する研究(倫理委員会にて承認済H25-E15)」として、細胞診標本の検討を行った。
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