研究課題/領域番号 |
25462856
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
渡邉 峰朗 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 助教 (80325183)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 口腔解剖学 / 病態痛 |
研究実績の概要 |
実験動物として8週齢Sprague-Dawley系雄性ラットを用いた。異所性疼痛モデルとしてラットオトガイ神経を切断した。麻酔下にて左側オトガイ神経を露出し4-0号絹糸で結紮した後、神経遠位側を切断した。von Frey filament を用いてwisker pad(ヒゲ部)における機械的疼痛逃避行動テストを行い、疼痛閾値を評価した。次に、哺乳動物由来のタンパクXを投与した。コントロールとしてアルブミンを投与した。その結果、以上のことが明らかとなった。 ①オトガイ神経切断24時間後から異所性疼痛を生じ、8週間経過しても疼痛閾値の低下が続いた。②オトガイ神経切断7日後にタンパクXを投与すると、疼痛閾値の上昇が48時間持続した。一方、アルブミンを投与しても、疼痛閾値の上昇は認められなかった。 ③そこでタンパクXの鎮痛作用を分子レベルで解明することにした。オトガイ神経切断後1週間後、三叉神経脊髄路核において細胞内シグナル伝達系であるp38とNFKappa-βのリン酸化が引き起こされるが、タンパクXを投与するとこのリン酸化が抑制された。④p38は炎症性サイトカインであるTNF-α産生をに関与していることが知られている。タンパクXを投与するとオトガイ神経切断後のTNF-α増加が抑制された。⑤NFKappa-βのリン酸化阻害薬を投与すると、異所性疼痛の抑制が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オトガイ神経切断後にタンパクXを投与したところ異所性疼痛が抑制された。分子レベルで疼痛抑制メカニズムの検討を行ったところ、三叉神経脊髄路核における細胞内シグナル伝達系と炎症性サイトカインの抑制が確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
培養細胞実験系ではタンパクXはTLR4に作用することが知られている。予備実験として本実験モデルにTLR4拮抗薬を投与すると異所性疼痛が抑制された。そこで、免疫沈降を行い本実験モデルでのタンパクXとTLR4の相互作用について解析するつもりである。また、NFKappa-βが異所性疼痛を引き起こすメカニズムを詳細に検討するつもりである。
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次年度使用額が生じた理由 |
H26年度は当初の計画より一部実験が進んだ。そこで前倒し請求を行い、次年度に予定していた追加実験の前倒しを計画した。追加実験の重要な部分は順調に進んだが、大学後期の教育業務(解剖実習等)に追われて全ての追加実験を終了することが出来なかった。
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次年度使用額の使用計画 |
実験用消耗品の購入に充てる
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