研究課題
Toll-like receptor 4(TLR4)、炎症性サイトカイン及び細胞内シグナル伝達系に着目して、オトガイ神経切断後の顎顔面領域異所性疼痛の発症メカニズムの解明を行った。また、ウシ由来ラクトフェリンによる顎顔面領域異所性疼痛への応用についても検討した。1.オトガイ神経切断後、長期にわたるリン酸化p38 MAPKとIL-18の増加が認められた。また、リン酸化p38 MAPKは小膠細胞に発現していた。2.TLR4アンタゴニストであるLPS-RSを髄腔内投与すると、p38 MAPKのリン酸化とIL-18産生が抑制され、異所性疼痛も抑制された。 3.p38 MAPKのインヒビターであるSB203580を髄腔内投与すると、p38 MAPKのリン酸化とIL-18の産生が抑制され、異所性疼痛も抑制された。4.タンパクXを髄腔内投与すると、リン酸化p38及びIL-18の産生と異所性疼痛の抑制が認められた。 また、中枢神経におけるタンパクXの受容体が確認された。さらに、ウシ由来ラクトフェリンは、髄腔内投与後、細胞内に担体輸送され、tumor necrosis factor receptor associated factor 6 (TRAF6)と結合することが確認された。5.IL-18 Binding Proteinを髄腔内投与すると、異所性疼痛が抑制された。以上の結果より、オトガイ神経切断後、小膠細胞に発現するTLR4が活性化され、p38 MAPKのリン酸化とIL-18の産生が増加することにより異所性疼痛を誘発することが示唆された。また、タンパクXはTRAF6と結合することにより、p38 MAPKのリン酸化とIL-18の産生を抑制し、鎮痛効果を発揮すると考えられた。
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