研究概要 |
PKR変異RAW細胞を用いて,細胞膜融合分子の発現と破骨細胞形成機構を明らかにし,初代培養細胞を用いて破骨細胞の分化と骨吸収能に対するPKRの影響を調べた。PKR変異細胞をRANKLで刺激すると,TRAP 陽性単核細胞は多数出現するが,多核細胞はほとんど認められなかった。この結果は,PKR が破骨細胞膜融合関連分子の発現制御に関わり,破骨前駆細胞同士の融合段階に影響し,破骨細胞形成を阻害している可能性を示唆する。野生型およびPKR変異細胞をRANKLで刺激して,破骨細胞膜融合関連分子 (MFR, CD9, CD44,DC-STAMP, ADAM8, Atp6v0d2, E-cadherin) の発現をReal-time PCR とウエスタンブロット法を用いて解析した。また,マウス骨髄からマクロファージを採取し,この細胞をPKR 活性阻害剤2-aminopurine (2-AP) で前処理を行った後,それぞれの細胞をRANKL で刺激し,破骨細胞膜融合関連分子と成熟破骨細胞マーカー(カテプシンK,カルシトニン受容体,TRAP)の発現を調べた。 炎症性骨破壊モデルである歯周病モデルマウスを作成し,PKR活性化阻害剤である2-APの治療効果と予防効果について,骨形態計測による詳細な解析を行った。また,PKRに対するsiRNAを関節炎マウスの炎症による骨破壊部位に導入し,炎症性骨破壊部位におけるPKRの役割について解析をした。さらに、病変部位のPKRの遺伝子および蛋白質発現をin situハイブリダイゼーション法,免疫組織化学染色法,ウエスタンブロッティング法にて解析した。病的骨吸収状態に加えて,正常な骨破壊部位(新生仔マウス下顎骨歯牙萌出部位)でのPKRの発現を比較検討し,形態学的に解析した。
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