研究課題
PKR が骨芽細胞の分化と破骨細胞の形成に必須であるという我々の成果を発展させ,骨形成と骨吸収における PKR の役割を細胞生物学的に解明し,動物実験で確証した。具体的には,PKR 活性阻害による骨破壊モデルラットの治療効果を調べ,以下の結果を得た。RANKLによる破骨細胞分化に伴い,PKRの発現は強力に誘導された。この発現はTNF-αで処理した細胞でよりは強力に誘導された。PKR特異的阻害剤2APは濃度依存的にTNF-αにより誘導される破骨細胞の形成を抑制した。2APによる破骨細胞形成抑制効果は2APの細胞障害活性によるものではなかった。また,2APは破骨細胞分化マーカーである,TRAP,CTR,CTK及びATP6V0d2の遺伝子発現を抑制した。RANKLを前処理した初代培養細胞由来破骨前駆細胞をハイドロキシアパタイトでコートしたプレート上に播種後,TNF-α及び2APを添加し培養し,吸収窩の数および面積を計測した。TNF-αにより誘導される吸収窩の数およびその面積は2AP処理により減少した。TNF-αにより活性化されるNF-κBとMAPキナーゼ経路におけるPKRの役割を調べた。2AP処理およびPKRsiRNA導入はTNF-αにより誘導されるPKR,IκBα,p38およびERKのリン酸化を抑制した。免疫蛍光染色法及び細胞分画法により,2APはTNF-αにより誘導されるNF-κBサブユニットの核移行を顕著に抑制した。2APはNF-κBの転写活性を抑制した。
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