研究課題/領域番号 |
25462862
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
永田 健吾 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (90189134)
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研究分担者 |
清島 保 九州大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (20264054)
藤原 弘明 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (50634200)
和田 裕子 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (70380706)
坂井 英隆 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (80136499)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | I2PP2A / set-alpha / neural crest / tooth development |
研究概要 |
我々は、歯の再生医療を見据えた人工的な歯胚再生法の確立を目指した研究を推進しており、既に歯原性上皮幹細胞の作製に着手しているところである。歯原性幹細胞を分化誘導するシステムの確立には、上皮間葉相互作用に重要な歯胚形成因子の分子ネットワークを捉えることが必要である。我々は、マウス歯胚形成初期に強発現を示す遺伝子をcDNAサブトラクション法により検索し、歯胚の形態形成への関与について報告されていない因子をいくつか検出した。I2PP2A(protein phosphatase 2A inhibitor 2/SETα)はそのうちの1つである。 本研究の目的は、歯胚形成過程に重要とされる細胞内シグナリング分子ネットワークであるWnt、TGFβ/Bmp、MAPKシグナル伝達系に着目し、それらのシグナル伝達を調節している因子としてI2PP2Aの制御機構を捉え、その機能的役割を解明することである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度には胎齢11日マウス下顎および胎齢15日の歯胚組織を用いた器官培養実験を主に行った。培養開始から毎日1回、3日間I2PP2AsiRNAを培地に添加、I2PP2Aの発現阻害を行った。阻害実験終了後、通法により組織標本を作製し、形態学的な解析を行った。同時に、タンパクおよびmRNAを回収し、歯胚形態形成の変化を機能的に解析するための試料を作製した。胎齢11日または胎齢15日から3日間のI2PP2A発現阻害により、I2PP2AmRNA発現量の減少をリアルタイムPCR法にて確認できたこと、および歯胚形態形成が阻害されたことから、I2PP2Aは歯胚形成因子の分子ネットワークに重要な役割を有していることが示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
1) 胎齢11日マウス下顎および胎齢15日歯胚の器官培養を継続して行い、経時的に試料を回収し、歯胚形態形成のシグナル分子ネットワークの解明をめざす。具体的にはI2PP2Aをネットワークの中心として、Wnt、TGFβ/Bmp、MAPKシグナル伝達系のタンパク質(β-catenin、Smad、MEK、ERK)のリン酸化についてWestern blotting法により解析する。同時に、これらのシグナル伝達系の標的因子であるAxin2、Msx1および歯原性因子(Amelogenin、Ameloblastin、Enamelin、Dentin sialophosphoprotein & Dentin matrix protein)の発現について、リアルタイムPCR法で定量解析を行うともに、歯胚形態形成過程における歯原性因子の発現・分布を免疫蛍光抗体法にて検索する。 2) ProteoTunerシステム(Clontech社)を用いたI2PP2Aの発現制御が可能なベクターを作成し、歯胚上皮細胞株・歯髄細胞株にI2PP2A発現制御ベクターをエレクトロポレーション法により導入し、I2PP2Aの発現制御を行い、Wnt、TGFβ/Bmp、MAPKシグナル伝達系のタンパク質のリン酸化をWestern blotting法で、シグナル伝達系の標的遺伝子および歯原性因子の定量解析をリアルタイムPCR法で行う。 3) 胎齢10日、全胚培養下にて、I2PP2A発現制御ベクターを神経管に近接した神経堤細胞に導入後、歯胚上皮が肥厚し始める時に、ProteoTuner システムによりI2PP2Aタンパク質発現を制御して、歯胚形成におけるI2PP2Aの機能の解析を行う。
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