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2014 年度 実施状況報告書

口腔病変における癌/上皮幹細胞への微小環境の作用

研究課題

研究課題/領域番号 25462864
研究機関長崎大学

研究代表者

藤田 修一  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (00181355)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワード扁平上皮癌 / 微小環境 / リンパ節転移 / 腫瘍関連マクロファージ / 腫瘍関連好中球 / CCL2-CCR2 pathway
研究実績の概要

癌幹細胞の定着・分裂・癌組織の組織構築のためにはそれに適した微小環境が必要である。口腔扁平上皮癌でも同様であるが、原発では癌の浸潤に伴う周囲組織の破壊や潰瘍形成によって、微小環境が修飾されていることが考えられ研究材料として不適である。そのため、破壊・炎症を受けにくいリンパ節での転移を、微小環境の研究対象とした。
平成26年度は、癌の発育や転移に関与しているとされる、腫瘍関連マクロファージ(TAM)および、TAMの1つとみなされるCCR2陽性の単球・マクロファージ・間葉細胞とCCR2のリガンドであるCCL2を免疫組織化学的に検討した。材料として、頸部郭清されたヒト口腔扁平上皮癌症例で、リンパ節非転移群、リンパ節転移群、後発転移群に分け、原発とリンパ節での変化を検討した。なお、非転移群では原発に最も近いリンパ節群を用い、転移リンパ節で、その構造が明瞭でないものは同じリンパ節領域のリンパ節を対象とした。
結果として、TAMは原発では腫瘍周囲に浸潤しており、転移リンパ節や転移リンパ節周囲のリンパ節の周辺洞組織球増多域(marginal histiocytosis: MH)に有意に増加していた。CCL2は腫瘍周囲の好中球に高率に発現しており、扁平上皮癌実質では腫瘍の浸潤部や分化度の低い領域に一致して局在がみられた。リンパ節でも転移の有無に関係なく、周辺洞内にCCL2陽性好中球の流入がみられた。CCR2陽性細胞は原発周囲の間質や転移リンパ節のMHに一致して集簇していた。
以上の結果から、TAMは口腔扁平上皮癌のリンパ節にも関係しており、CCL2-CCR2 pathwayを考えると、腫瘍関連好中球(TAN)が所属リンパ節に流入し、リンパ節周辺洞にCCR2陽性細胞を定着させる。CCR2陽性細胞は微小環境を形成し、扁平上皮癌の転移を成立させると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ヒト材料を用いた微小環境の研究では、癌の浸潤破壊・炎症・腫瘍免疫などの因子があり、これらの因子の影響を避けるために、原発部位でなく、口腔扁平上皮癌に頻発するリンパ節転移を対象としたため、免疫組織化学的に順調に検討できた。

今後の研究の推進方策

リンパ節転移の微小環境形成には、TAMやCCR2陽性細胞が関係していることが判明した。今後の研究としてこれらの細胞が、どのような機転でリンパ節に微小環境を形成しているかを検索したい。各種のサイトカインや血管形成、線維形成が関与していると考えられるが、これらの因子を検索したい。

次年度使用額が生じた理由

実験で使用する抗体が、良質であり、大量に使用する必要がなかったため、当該年度の支出額が予定より低くなった。

次年度使用額の使用計画

次年度は、各種サイトカイン・血管増殖因子・線維増殖因子などの染色用の抗体が多種必要である。研究の最終年度にもあたるので、発表・論文作成・投稿にも使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 口腔扁平上皮癌の頸部リンパ節転移における腫瘍関連マクロファージとCCR2陽性細胞の役割2015

    • 著者名/発表者名
      藤田修一、池田通
    • 学会等名
      第104回日本病理学会総会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場(名古屋市)
    • 年月日
      2015-05-01 – 2015-05-01

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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