研究課題/領域番号 |
25462870
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
豊島 邦昭 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (10112559)
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研究分担者 |
瀬田 祐司 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (90291616)
豊野 孝 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (10311929)
片岡 真司 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (80364149)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 味蕾 / アロマターゼ / 性ステロイド / エストロゲン |
研究概要 |
近年、高齢化や様々な生活習慣病等の疾病の増加にともなって、味覚障害(異常)が重要な課題となってきた。味覚障害を訴える患者は、この10年間で約3倍以上に増加し、最近の調査では、全国で年間24万人以上に増加しているとの報告がある。味蕾が受容する味覚情報は、口腔内に入ってくるすべての物質をモニターし、有害物質が体内に入らないように弁別するとともに忌避行動を誘発することができる。すなわち、味覚は生体にとって重要な警告系としての役割をもつ重要な感覚である。味覚障害の原因解明や予防法、治療法の開発は、歯科医 療の重要な課題の一つと考えられる。本研究では、味覚受容における性ホルモン(エストロゲン)の役割に注目し、エストロゲンの生成のできないアロマターゼノックアウト(ArKO)マウスを用いることで、味覚受容におけるエストロゲンの機能を解明することを目的とする。 本年度はArKOマウスの味蕾の微細構造を中心に、形態的な変化を検索した。電子顕微鏡でArKOマウスの味蕾の味蕾を観察すると、味蕾における各細胞型の比率に関しては、野生型マウスと大きな変化は観察することは出来なかった。しかしながら、2型細胞における滑面小胞体の発達が野生型マウスと比較して悪くなっているが観察された。また、免疫染色で味蕾の各細胞型のマーカーを使って、味蕾におけるマーカーの発現の変化を検索したが、微細構造同様、マーカーの発現には差は認められなかった。 現在、2ボトルテストならびにショ糖あるいはキニーネ添加粉末飼料を用いて、ArKOマウスの味覚感受性試験を行い、アロマターゼ欠失による味覚感受性の変化を検索中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度計画していた、ArKOマウスの味蕾の形態観察で結果を得ることができ、期間中の実験計画はほぼ目的を達成できたと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
1.ArKOマウスの味覚感受性の変化 ① 前年度に引き続き、2ボトルテストでArKOマウスが各味覚に対する感受性の変化が生じているのかどうかを検索する。② ArKOマウスの摂食量の比較: 野生型マウスとArKOマウスで摂食量と体重増加の比較を行う。さらに、粉末飼料にショ糖・キニーネを配合して、野生型マウスとの摂食量の比較を行う。 2.ArKOマウスにおける摂食関連因子の発現変化の検索 ①糖・脂質代謝に関係するFGF15, FGF21,レプチンなどの摂食関連因子の発現をArKOマウスと野生型マウスの味蕾でRT-PCR, in situ Hybridizationを用いて比較検討する。 3.味蕾におけるエストロゲン受容体の発現の検索 ①味蕾におけるエストロゲン受容体の発現を検索する。②味蕾で発現が認められたエストロゲン受容体と味蕾細胞のマーカー(gustducin, PLCβ2, NCAM, AADC)と2重染色して、味蕾の細胞型での発現を確認する。③味蕾で発現が認められたエストロゲン受容体を免疫電顕で、発現している細胞型の確認と発現部位を検索する。
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次年度の研究費の使用計画 |
予定されていた動物実験施設での遺伝子改変マウスの飼育費が計算間違いにより、1754円余剰となってしまった。 昨年度の余剰金は1754円と少額であるので、当初の計画通り今年度の予算額と合わせて研究費として、使用する予定である。
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