研究課題
今年度は、歯周病菌由来S46ファミリーDPP11の結晶化スクリーニングを実施し、構造解析に十分な分解能を持つ結晶の作製に成功した。14年度末までに60セットの回折強度データを高エネルギー加速器研究機構とSPring-8にて収集し、昨年構造解析に成功した同じファミリーに属するDAP BIIの立体構造をモデル構造とした分子置換法を試みたが、成功しなかった。そのため、セレノメチオニン化DPP11の結晶から得られたデータを利用した多波長異常分散法による位相決定と精密化を進めている。また、最も高分解能のデータはJAXAとの共同研究で得られた微小重力下で結晶化したDPP11の結晶から得られており、MADで位相決定した構造と共に精密化を進めている。歯周病菌由来DPP11及びDPP7と同じS46ファミリーに関するDAP BIIの複合体についても構造解析に成功し、その成果を論文として発表した。DAP BIIと歯周病菌DPP7の基質特異性は類似しているため、DPP7の基質認識機構の解明に役立つと考えられる。また、S46ファミリーの酵素は歯周病菌だけでなく多剤耐性菌であるStenotrophomonas maltophiliaにも存在し、そのペプチド代謝系に重要であることから歯周病菌だけでなくグラム陰性糖非発酵性病原菌に対する阻害剤の創出に貢献できる。
2: おおむね順調に進展している
歯周病菌や多剤耐性菌の生育に重要なS46ファミリーの酵素であるDAP BIIの立体構造を世界で始めて明らかにした。今年度は、同じS46ファミリーに属する歯周病菌DPP11の結晶化及び構造解析に成功しつつあり、立体構造に基づく阻害剤の探索が可能となりつつある。
歯周病菌DPP11の構造解析を実施し、本研究で明らかにしたDAP BIIの構造を基にしたDPP7の予測構造及びDPP11の立体構造を用いたインシリコスクリーニングとヒットした化合物による化合物アッセイを実施する。
インシリコスクリーニングの準備が遅れているためと研究協力者の出張旅費の回数が予定よりも少なかったため。
次年度は、病原菌由来S46ファミリーの酵素の構造解析と、構造解析に成功した酵素の立体構造を用いたインシリコスクリーニングとそのヒット化合物による化合物アッセイを実施する予定である。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 1件) 備考 (5件)
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