研究課題/領域番号 |
25462876
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
梶原 景正 東海大学, 医学部, 講師 (00204397)
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研究分担者 |
木村 穣 東海大学, 医学部, 教授 (10146706)
渡部 聡 独立行政法人農業生物資源研究所, その他部局等, 研究員 (80391572) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 22q11.2欠失症候群 / Sez12 / ノックアウトマウス / 頭蓋底軟骨結合 / TGF-βシグナル / BMPシグナル / ノックインGFP / Dgcr2 |
研究実績の概要 |
Sez12-KOマウスの頭蓋骨の形態異常について検討するため、頭蓋の前後軸方向への伸長に寄与する頭蓋底軟骨結合に注目した。生後5日目のSez12-KOマウス頭蓋底軟骨結合の組織学的解析では、肥大軟骨細胞層の短縮が認められ、組織化学的解析によりGFP発現は静止軟骨細胞と肥大軟骨細胞で同定できた。生後3週齢から8週齢の頭蓋底軟骨結合の変化についてalcian blueを用いた骨格標本で検討したところ、Sez12-KOマウスの頭蓋底軟骨結合は4週齢から早期に消失することが認められた。 前年度Sez12分子とTGF-βシグナルとの関連性を解明したが、その詳細についてSez12-KO胎仔線維芽細胞(MEF)を用い、luciferase活性を指標に検討した。Sez12-KO MEFにTGF-βを投与すると、野生型MEFと比較してリン酸化Smad2レベルの上昇とともにTGF-βシグナルの亢進が認められた。このTGF-βシグナルの亢進はSez12-KO MEFにSez12を過剰発現させると消失した。現在、初代軟骨細胞を用いて同様な検討を行っている。一方、Sez12遺伝子は糖鎖結合ドメインをもつ膜タンパク質をコードしている。そこでSez12-KO MEFにタグ付きSez12タンパク質を過剰発現させ、Sez12タンパク質と相互作用をもつ膜タンパク質を抗タグ抗体によるプルダウンアッセイで検討した。その結果Sez12タンパク質は、TGF-β受容体と相互作用をもつことが認められた。さらに細胞膜上の糖鎖を切断するグリコシラーゼを過剰発現させるとSez12に相互作用する膜タンパク質は単離できなかった。 以上の結果から、Sez12遺伝子がTGF-β受容体と相互作用する膜タンパク質をコードしてTGF-βシグナルを制御するメカニズムの一端が明らかになり、Sez12遺伝子が頭蓋底軟骨細胞の増殖分化制御を制御することで、顎顔面骨格形成に重要な役割を果たしている可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Sez12-KO胎仔線維芽細胞を用いたシグナル解析により、Sez12タンパク質が細胞膜上でTGF-β受容体と相互作用してTGF-βシグナルを調節している可能性が考えられた。このSez12がSez12-KOマウスの頭蓋底軟骨結合でもTGF-βシグナル調節の役割を果たしているのかを検討するため、Sez12-KOマウスより初代軟骨細胞を調製したが、安定した細胞調製ができるまで時間を労してしまった。現状では初代軟骨細胞調製とともにマウス奇形腫由来のATDC5細胞を用いてSez12ノックダウンまたはCRISPRシステムによるSez12欠失を試みている。そのため若干計画が遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
TGF-βシグナルの活性化によりluciferase活性が上昇する安定化細胞を調製し、Sez12発現ベクター導入によるTGF-βシグナルの変化を再検討する。実験には軟骨分化可能なATDC5細胞で行うことを計画している。またCRISPR/Cas9システムを駆使して同一染色体上にあるSez12遺伝子とTbx1遺伝子をダブルノックアウトした遺伝子改変細胞を調製する。細胞としてはインシュリン投与などで軟骨細胞に分化できるATDC5細胞を用い、Sez12またはTbx1ノックアウトのみならず、Sez12/Tbx1ダブルノックアウト軟骨細胞を調製する。Tbx1は、発生過程における鰓弓形成に重要な役割を果たす転写因子であり、このTbx1欠失により遊走された神経堤細胞の分化に異常をきたすことが知られている。現在解析している軟骨細胞分化過程におけるDgcr2の機能が、Tbx1により影響を受けると考えている。そこでSez12/Tbx1ダブルノックアウトATDC5細胞の一般的な増殖・分化の動態を検討するとともに、インシュリンなどで軟骨に分化した細胞がTGF-βシグナルの変化による形態的かつ機能的な変化について、軟骨細胞形態変化に伴うコラーゲン分子種の発現動態などを踏まえて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
CRISPR/Cas9システムでDNA分解酵素の活性を発揮させるゲノム上の位置を決定するのに時間がかかり、前年度までに完成できなかった。Sez12またはTbx遺伝子特異的なDNA配列を含むベクター作製を次年度にずれ込んだため、繰越金が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
CRISPR/Cas9システムに必要なベクター構築・遺伝子導入、さらにノックアウト細胞のスクリーニングに必要な細胞培養の試薬・器具・各種抗体の購入に使用する。
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