研究実績の概要 |
侵襲型歯周炎の原因菌であるAggregatibacter actinomycetemcomitansが産生するキノールペルオキシダーゼ(QPO)は、本菌の過酸化水素耐性や毒素産生に密接に関わっている。QPOは呼吸鎖成分のキノンを基質として利用できることから、呼吸鎖と連結している、あるいは呼吸鎖構成要素のひとつとしても捉えられる。今までの結果より、動力学的な解析からQPOの触媒反応はping pong Bi Bi機構であり、さらにQPOの阻害剤としてascofranone(Ki=9.56 nM), ascochlorine (Ki=24.7 nM), illicicolin B(Ki=566 nM)はそれぞれmixed-type inhibition, competitive inhibition, mixed-type inhibitionであることを示してきた。今回さらにillicicolin F(19.5 nM) が、QPOの強力な阻害剤で、competitive mannerで説明できることを見出した。また、呼吸鎖の阻害剤として広く知られているHQNO(N-heptyl quinoline N-oxide)(0.97 uM)がcompetitive mannerであること、また緑膿菌のクオラムセンシングに関係しているPQS(2-heptyl-3-hydroxy-4(1H)-quinolone)(Ki=6.98 uM)もnon-competitive typeの阻害剤であることを見出した。我々はさらにN末端領域1/3(推定キノール結合ドメイン)に存在しているヘムcの第6配座に関与している可能性が考えられているMetとHisの部位特異的な変異体を作製した。現在それらの大量発現系と精製法を検討中である。またその他の領域(C末端2/3領域、細菌cytochrome c peroxidaseと相同性の高い領域)に関しても、良く保存されているアミノ酸残基の変異株を順次取得しているところである。
|