本研究はラットの島皮質のスライス標本またはヒトfMRIを用いて,味覚野と自律領野の神経活動が、協調するか否かを観察した。その結果、アナンダミドの灌流投与により、周期的な興奮がラット味覚野において誘導された後、胃腸自律領野へ伝播し、味覚野と胃腸自律領野の神経細胞間に同期した振動活動が生じることを見出した。また、カプサイシンのヒト舌への滴下により、味覚野と自律領野が賦活され、それらの活動が指尖体温と相関することを明らかにした。味覚によりもたらされる情動的な摂食行動や自律神経反応を引き起こす脳活動において,島皮質味覚野と自律領野神経細胞間で生じる神経活動が重要な役割を果たす可能性を明らかにした.
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