研究課題
1)リーダー分子CCN2とCCN3間の直接的相互作用の解析:申請者らは助成金交付を待たずして、Surface plasmon resonance (SPR)法、免疫共沈降法によりCCN2とCCN3が直接結合することを確認した。さらに両者が軟骨細胞様HCS-2/8において細胞内でも核膜周辺に共局在することも確認した(昨年度の業績)。これに続いて本年度は、主にCCN2とCCN3がどのモジュールを介して結合するかを直接的に評価することを目指して、CCN2およびCCN3を構成する4つのモジュールを発現するための分子クローンの構築を進めた。2)関連分子の機能に与える「CCN2/CCN3バランス」の影響:当初この研究項目に関しては、骨形成性タンパク質(BMP)を用いてモデルスタディを行う予定であった。しかし本年度CCN3の大量生産および過剰発現実験系を樹立した際に興味深い現象が観察されたため、その解析を先行させた。すなわちCCN3過剰発現用レトロウイルスベクターを構築し、その発現をマウス線維芽細胞で確認するとともに細胞生物学的影響を検討した。ダイアーキー的相互作用を想定し、TGF-βで細胞を刺激してCCN2とともに線維化形質を誘導した状態でCCN3を強制発現したところ、予想通り線維化形質は抑制された。その際CCN2を含めて全CCNファミリーメンバーの遺伝子発現変動を評価したところ、CCN2に加えてCCN4までもが発現を抑制されていた。これは線維化病変形成におけるCCN2とCCN3のダイアーキーを裏付ける結果であると同時に、CCN4など他のメンバーも考慮して研究を進めねばならないことを示す重要な実験事実である。3)新たなる協同分子の探索:本年度の研究で線維芽細胞増殖因子 (FGF)-2に加えて、FGF-1がCCN2に結合することをSPR法、固相結合法により新たに見出した。
2: おおむね順調に進展している
必ずしも当初予定していた計画通りに進んでいるわけではないが、計画に沿った研究で見出された新しい知見を見落とすことなく、そこから関連した成果を挙げることが出来たことは評価に値する。また、そうして得られたある種意外な結果が、研究の方位を修正するきっかけとなったのはむしろ歓迎すべきことである。
基本的に研究計画に沿って続け、CCN2とCCN3のダイアーキーによる組織形成の統合的制御機構の解明を目指す。しかしその一方で、研究実績に記した「新たな知見」すなわち、その他のCCNファミリーメンバーが統合的制御機構に含まれる可能性をつねに意識しつつ研究を進める。具体的には検証対象となる生物学的微細環境に、CCN2とCCN3以外のCCNファミリーメンバーが存在するか否かに注意を払いながら研究を進め、結果をより広い視点から解釈することを常に念頭におく。
この残額で購入できる、研究に必要な消耗品がなかったため。翌年度分の助成金に加えて、消耗品購入に有効に活用する。
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