研究課題/領域番号 |
25462886
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
久保田 聡 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (90221936)
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研究分担者 |
滝川 正春 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (20112063)
服部 高子 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (00228488)
西田 崇 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (30322233)
青山 絵理子 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (10432650)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | CCN2 / CCN3 / CTGF / NOV / 軟骨 / 骨 / 再生医療 / 橋渡し研究 |
研究実績の概要 |
1)協同分子の機能に与える「CCN2/CCN3バランス」の影響:CCN2、CCN3両者に共通な協同分子の代表格であるBMP-2は、内軟骨性骨化で重要な役割を演ずることが知られている。そこで、すでに樹立した軟骨細胞特異的CCN2トランスジェニックマウスに加えて、CCN3を軟骨細胞特異的に強発現する変異マウスを作成し、CCN2/CCN3バランスの変調が軟骨・骨形成に与える影響を解析した。その結果、CCN3過剰発現によって、BMP-2の発現が見られる内軟骨性骨形成の最終段階に明瞭な遅延がみられた。また軟骨の骨への置換が行われる境界部分では、血管侵入度の低下が認められた。以上の所見は適切なCCN2/CCN3バランスが正常な内軟骨性骨形成にとって重要であることを明瞭に示している。またCCN2ノックアウトマウスとは類似点はあるものの異なっていることから、CCN2とCCN3は単純に拮抗し合い作用するのではなく、BMP-2を代表とする協同分子との複雑なネットワークの下に機能していることが裏付けられた。 2)協同分子のスクリーニングの続行:CCN3についてはスクリーニングに使用する高品質リコンビナントタンパク質を得るために、トランスポゾンを応用した真核細胞からのタンパク質産生システムを開発したが、その大量生産、同タンパク質を用いたスクリーニングは次年度の課題として残された。しかしCCN2に関しては新たにPDGF-BB、GDF-5が特異的に結合することを見出し、CCNファミリーを取り巻く分子ネットワークの未知の部分がまた明らかとなった。 3)CCN2とCCN3の遺伝子発現制御システムの比較解析:転写調節システムの比較解析のため、既存のCCN2プロモーターレポータープラスミドに倣い、CCN3についても同様のプラスミドの作成、機能評価に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実績として述べた通り、ほぼ申請当初の計画に沿った研究の下成果が着実に得られている。具体的な研究手法は予定と完全に一致するわけでなく、得られた結果には期待通りでない部分も含まれているが、これは研究途上の軌道修正およびそれを促す事象であり、むしろ正しい研究のありかたを反映している。なお前年度にも述べたように、CCN2およびCCN3だけでなく、他のファミリーメンバーも考慮しつつ研究を展開すべきであるという視点を本研究で得られたことも貴重な成果である。本年度もこの視点から新たな研究成果を得たが、本研究の範疇に収まり切らないことと制限字数の関係で実績欄に記述しなかったことを申し添えたい。
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今後の研究の推進方策 |
研究は比較的順調に進んでいるものの、研究項目によって進捗度にかなりのバラツキが生じている。主に人的理由から、CCN3タンパク質とその誘導体の生産、精製が遅れていることが一つの原因であるので、現在その解決に向けて対策を進めている。またCCN3遺伝子発現制御機構の解明も遅れ気味なので、平成27年度はそちらにも力を入れる。さらに平成26年度に引き続き、CCN2とCCN3のダイアーキーへの他のCCNファミリーメンバーの参画を考慮した視点で研究を展開する方針を継続し、将来に続く研究の基礎を築く。
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次年度使用額が生じた理由 |
残額が僅少となり、有効活用するのが困難になったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に新たな交付分とあわせて、より効率的に使用する計画である。
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