研究課題
平成26年度は、軟骨組織特異的CCN3過剰発現トランスジェニックマウス(CCN3col2a1tg)の軟骨および骨の解析を行い、以下の結果を得た。1)軟骨分化過程のCCN3過剰発現による修飾軟骨組織特異的CCN3過剰発現ベクター(Col2a1-mNOV-GFP-IRES-LacZ)をマウス受精卵に注入することによって得られたトランスジェニックマウス(CCN3col2a1tg)より軟骨細胞を単離し、遺伝子発現の変化をマイクロアレイを用いて解析し、内軟骨性骨形成の制御が報告されているいくつかの遺伝子発現の変化を確認した。2)CCN3col2a1tg由来の間葉系幹細胞の高密度培養で、CCN3過剰発現により軟骨分化が促進されていることが明らかとなった。しかしながら、リコンビナントCCN3蛋白添加では軟骨分化が抑制されることから、細胞内CCN3が細胞外に分泌されたCCN3とは異なる遺伝子発現を直接的、あるいは間接的に制御している可能性が示唆された。3)生後2ヶ月齢の成体CCN3col2a1tg関節軟骨で、組織学的解析により著しい関節軟骨の変性が誘発されていた。マイクロCTの解析から、軟骨下骨においても吸収像が確認された。CCN3col2a1tg関節軟骨下骨表層で破骨細胞が誘導されていた。col2a1プロモータによって誘導されているCCN3の発現は出生後18ヶ月まで継続していることを確認した。
1: 当初の計画以上に進展している
平成26年度は、①CCN3col2a1tgの表現型を分子レベルの変化として説明すること、②また、出生後の軟骨組織におけるCCN3の機能を解析するために、成体CCN3col2a1tgマウスの軟骨組織、特に関節軟骨に注目することであった。①に関しては、CCN3col2a1tgマウス胎児肢芽間葉系細胞を高密度培養して得られた軟骨細胞よりRNAを単離し、当初の予定通りマイクロアレイ解析を行い、内軟骨性骨形成の制御が報告されているいくつかの遺伝子発現の変化を確認した。さらにこのマイクロアレイの結果は、生後1日齢のCCN3col2a1tg肋軟骨培養細胞から単離したRNAで再確認されているため、①の計画は完遂できている。この結果を元にCCN3が内軟骨性骨形成に及ぼす役割を現在説明しようと試みている。②に関しては生後2ヶ月齢のCCN3col2a1tg由来関節軟骨で重篤な変性を伴っていることが確認されている。この変化も先の遺伝子発現の変化と合わせて分子レベルの変化として現在説明しようとしている。②の計画に関しても、当初の予想以上に達成されている。
これまでに得られた結果を元に、遺伝子発現の変化として捉えられた変化が確実なものであるか、in vitroおよびin vivoで確認する。実際には、in vitroで誘導されていた遺伝子に関しては、その発現を抑制したり、機能を阻害するなどしてこれまで確認されている現象が阻害できるかを確認する。また、in vivoでは、発現が誘導されている遺伝子を抑制するなどしてその変化が消失するかを確認する。これらの研究成果は国際雑誌に論文として掲載を目指す。
本年度は、使用したマウスの匹数が当初の予定より若干少なくなったため、物品費の使用が少なく、次年度使用額が生じた。次年度は予定より多くのマウスを使用すると思われ、本年度の剰余額は次年度に使用したい。
上記の理由で、次年度使用額は物品費としての使用を計画している。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件、 謝辞記載あり 6件) 学会発表 (14件) (うち招待講演 2件)
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