研究課題
3週齢マウス下顎のパラフィン切片を用いて第一大臼歯におけるMSX1タンパクの発現部位を解析した。MSX1の発現は歯根部象牙芽細胞では核と細胞質の両方に強く発現していたが、歯冠部の象牙芽細胞では細胞質に弱く発現しているだけであった。この結果から、MSX1は象牙質形成が進行中の歯根部の象牙質細胞では転写調節に寄与しているが、象牙質形成がほとんど終了している歯冠部の象牙質細胞では転写の調節に働いていないと考えられる。歯根部の象牙質細胞において、MSX1は核だけでなく細胞質の象牙芽細胞突起部分にも強く発現しているので、これらの部位においてもMSX1は転写調節以外の何らかの役割をしていると予想される。MSX1はまた、歯髄中心部において血管周囲の間葉系細胞の核に強く発現していた。MSX1タンパクは幹細胞/前駆細胞に存在し、歯髄組織の中心部で幹細胞/前駆細胞の維持にも関与しているかもしれない。MSX1は歯髄細胞/歯髄幹細胞に特異的に高発現している。またこれまでの研究から、MSX1は骨芽細胞分化/象牙芽細胞分化の促進因子として機能していることが明らかになってきた。さらに今回の歯髄内のMSX1タンパク局在性の研究結果も合わせて考慮すると、損傷を受けた歯髄組織の修復にMSX1が関与している可能性が示唆される。歯髄内の前駆細胞や幹細胞が象牙芽細胞に分化し、反応象牙質や修復象牙質が形成される過程や、幹細胞/前駆細胞の維持にMSX1が機能していると予想された。
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