研究課題/領域番号 |
25462892
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
坂井 詠子 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (10176612)
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研究分担者 |
岡元 邦彰 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (10311846)
西下 一久 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (20237697)
筑波 隆幸 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30264055)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | osteoclast / Nrf2 / keap1 / NFATc1 / c-Fos |
研究概要 |
Nrf2遺伝子欠損マウスと野生型マウスの骨髄細胞から、M-CSFとRANKLを加えて破骨細胞形成を比較したところ、Nrf2欠損マウスでは巨大な破骨細胞が多数形成された。一方、Keap1遺伝子欠損マウスと野生型マウスの新生仔脾細胞から破骨細胞を形成させると、Keap1欠損マウスでは顕著な破骨細胞形成の抑制が認められた。破骨細胞において、ROSはMAPKを活性化し破骨細胞分化を促進することが報告されていることから、上記マウスにおける細胞内ROSの計測を行った。細胞内ROSの計測は蛍光プローブを用いてFACsで解析したところ、Nrf2欠損マウス>野生型マウス>Keap1欠損マウスの順に高いROSが認められた。さらにRANKL刺激後のMAPKの活性化をウェスタンブロットで解析した。また、破骨細胞分化に必要な転写因子の核移行を上記3種類のマウスの破骨細胞で比較した。さらに、NFATc1遺伝子上流の転写因子結合サイトへの転写因子の結合をクロマチン免疫沈降法を用いて解析した。転写因子であるcFosの核移行に関わるMAPKの解析は、各MAPK阻害剤を用いて行った。平成26年度以降に計画していた上記3種の新生仔マウスの透明骨格標本の作製と大腿骨・脛骨・頭蓋骨のマイクロCT撮影を開始した。さらに新生仔マウスの頭蓋骨由来骨芽細胞前駆細胞を採取し骨芽細胞分化の比較実験を開始した。これらの研究に加えて、植物由来ポリフェノール群の中で、ヘムオキシゲナーゼ1の発現を上昇させるポリフェノールに着目し、まず細胞毒性が少なく破骨細胞分化抑制効果の高かったsanguiin H-6 による破骨細胞分化抑制機構の解析を行い、現在投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度に実施することを予定していた研究に関しては、おおむね計画どおりに実施でき、興味深い結果を得ることができた。Fura-2を用いた細胞内カルシウム濃度の測定については、実験例数を増やし平成26年度も十分な検討をすることが必要である。しかしながら、当初平成26年度以降に行う予定にしていた骨量評価の実験や、骨芽細胞の比較実験の開始、および植物由来ポリフェノールの破骨細胞分化抑制作用の解析を平成25年度から実施を開始できたこと、加えてsanguiin H-6を用いた研究成果を投稿する段階に至ったことは評価できると考えた。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度に実施計画を予定していた研究を行う。平成25年度に完了することができなかった細胞内カルシウム濃度の測定を例数を増やして再検討を行う。マイクロCTによる骨量評価と新生仔マウス透明骨格標本による全身の骨代謝への影響を明らかにするために、さらに例数を増やしてデーターの確実性を高める。また、Nrf2活性化作用を有し破骨細胞分化を阻害するポリフェノールの探索を続けて行い、さらに有効な天然物の発見と作用機序の解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
クロマチン免疫沈降法を行った際に、当初予定していたDNAオリゴ以外のプライマーが必要となったが、その購入が年度末になったため、発注を新年度になってまとめて行うことにしたので次年度使用額が生じた。 DNAオリゴ2本を購入し、クロマチン免疫沈降に用いる。
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