研究課題/領域番号 |
25462893
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
小早川 健 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教務職員 (10153587)
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研究分担者 |
根本 優子 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (10164667)
根本 孝幸 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (90164665)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 歯周病菌 / P.gingivalis / ジペプチジルペプチダーゼ / プロテアーゼ |
研究概要 |
歯周病原性細菌Porphyromonas gingivalisは解糖系酵素の欠損によりグルコースを代謝することができず,嫌気条件下でのアミノ酸代謝によりATPを産生する。アミノ酸は主にジペプチドとして菌体内に取り込まれるが,オリゴペプチドからジペプチドを産生する加水分解酵素ジペプチジルペプチダーゼ(DPP)はP. gingivalisにおけるエネルギー代謝の起点と考えられる。本研究では, (1) 3種類の既知のDPP(DPP4, DPP7, DPP11)とゲノム情報からDPPと推定される未同定の遺伝子(Ala-DPP, DPP3, prolyl-oligopeptidase)産物の基質特異性等の生化学的,酵素学的解析 (2) P. gingivalis生育におけるDPP依存性の評価 について検討した。 3種類の既知のDPPの組換え分子標品について種々の合成ジペプチド蛍光基質を用いて基質特異性を検討したところ,P1位置はDPP4がPro,DPP7が疎水性アミノ酸,DPP11がAsp/Glu特異性を示し,さらにP2位置についてはDPP11では疎水性残基が優位性を示した。DPP7ではP1及びP2位置の疎水性度の合計に依存してDPP活性が上昇することを明らかにした。 推定Ala-DPP及びDPP3遺伝子を発現精製したところAla-DPPはいずれの既存の基質に対しても加水分解活性を示さなかった。DPP3はArg特異的なDPP活性を有し,これまで報告のあった酵母,及びBacteroides thetaiotaomicronオルソログと類似する活性であることを認めた。さらに,prolyl-oligopeptidase遺伝子はこれまで真菌類のみで報告のあったDPP5であることが明らかとなった。P. gingivalis 33277株とDPP 遺伝子4種破壊株NDP212および全ジンジパイン遺伝子破壊株KDP136をエンリッチBHI培地で培養し,その成長速度を測定すると野生株、NDP212株、KDP136株の順で増殖に差があり,本菌の増殖にはDPP活性が重要であることを認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3種類の既知のDPP(DPP4, DPP7, DPP11)とゲノム情報からDPPと推定される未同定の遺伝子(Ala-DPP, DPP3, prolyl-oligopeptidase)産物の基質特異性解析、4種のジペプチジルペプチダーゼ遺伝子破壊株作成を行い、一般的なエンリッチBHI培地における成長挙動までは確認でき、より単純化した組成の培地で蛋白質栄養要求性の解析の途中である。
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今後の研究の推進方策 |
一般的なエンリッチBHI培地よりも単純化した組成の培地でのP.gingivalis菌の培養条件がなかなか見つからないため、蛋白質栄養要求性の解析が難しい状態である。培養条件の探索に並行してジペプチジルペプチダーゼ基質のアミノ酸特異性から阻害剤の合成や活性阻害挙動の検討から行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初当該年度に購入予定だったパソコンの購入が次年度になり、消耗品の購入が少なかったため。 当初当該年度に購入予定だったパソコンを購入予定である。少なかった消耗品の購入のうち合成ペプチドの購入が増える予定である。
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