研究課題
平成25年度に引き続き,我々が発見した新規ジペプチジルペプチダーゼ(DPP)11,および関連DPPの構造と機能,細胞内外での局在性,およびそれらの病原性の解明を目指して解析を行った。さらに,口腔細菌感染症である歯周病と感染根幹の起炎菌である嫌気性糖非発酵性細菌Porphyromonas gingivalis (Pg),およびPorphyromonas endodontalis (Pe)のエンドペプチダーゼ活性とDPP活性を比較検討した。その結果,これまで真菌でのみ見出されていたDPP5がPgで発現しており,DPP5は主にペリプラズムに局在することを見出した。真性細菌であるPgのDPP5遺伝子配列が明らかになったことにより,DNA配列の相同検索他の検討からDPP5は細菌,古細菌,および真核生物に広く分布する酵素であることを明らかにした。PeゲノムDNAの解析から,本菌のDPP5およびDPP7の遺伝子配列を決定した。また,Pe菌株は検討したいずれのPg臨床分離株よりもDPP4, DPP5, DPP7, およびDPP11の活性が有意に高いこと,DPP5とDPP7は共に疎水性アミノ酸およびアラニン(Ala)残基特異性を示すものの,Pe菌体が示す高いLys-Ala-MCA分解活性はDPP7ではなく主にDPP5活性によること,PeDPP5はPgDPP5に比べて高い酵素学的パラメーター(kcat, Km)を持つこと,また,PeDPP7は機能未知のC末端配列を持つことなどを見出し報告した。
1: 当初の計画以上に進展している
DPP11に加えて,DPP5が細菌で発現し機能していることを世界で初めて示した。また,4種類のDPP分子は主にペリプラズムに局在することを初めて明らかにした。
P. gingivalis DPPの検討から新規のペプチダーゼ活性が存在する可能性を見出しており,該当分子の同定を進める。PgDPPの病原性や全身疾患との関連について検討を進め,さらにP. gingivalis以外の細菌のDPPについての知見の集積を計る。
永年使用機器(高速液体クロマトグラフィーシステム)の保守費用を確保するため。
機器保守費用150,000円
すべて 2014 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)
J. Biol. Chem.
巻: 289 ページ: 5436-5448
10.1074/jbc.M113.527333
PLoS ONE
巻: 9 ページ: e114221
10.1371/journal.pone.0114221
http://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/about/info/science/science71.html